第三十七話 少年期S
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遺伝持ちってこと?」
「そう」
こくり、とうなずく少年Eに俺はちょっと感動していた。俺自身も「電気」の魔力変換資質は持っているが、「召喚」の異能持ちの方はずっと珍しい。つまり少年Eはキャロさんみたいに龍を召喚したり、ルーちゃんみたいにムシキングを呼び出せるかもしれないってことか。
少年Aも俺と同じように考えているのか、目がすごく輝いている。そりゃ召喚魔法なんて、ファンタジーの代名詞のような魔法だもんな。その気持ちはすごくよくわかる。
「それってすごいじゃん。ねぇリトス、せっかくだから今から訓練場に行って召喚魔法を見せてよ!」
「うーん」
「いや、それはダメだろ」
考えている少年Eには悪いが、今すぐ発動はまずいだろ。問答無用に切り返えされた返事に、少年Aはむっと俺の顔を見てくる。さっきも思った通り、俺だって召喚魔法に興味はあるけどさ。
「いくら技能持ちでも、召喚魔法は高等技術だぞ。万が一失敗したら怪我だけじゃすまない可能性もある。ちゃんと先生に申請を出して、きちんとした立会いの下に行うべきだろ」
「それは、……うんそうだね」
興奮が落ち着いたのか、少年Aは静かにうなずく。少年Eは何も言わないので、少なくとも今の決定に不満はないってことかな。こいつも結構マイペースな性格だから、本気で召喚も意見も嫌ならちゃんと意思表示をするだろう。
「それじゃあ、リトス君。今回使う魔法は、遠くにある物を自分のもとに召喚する魔法です」
「はい」
そんなわけで、あの後さっそく行動を開始しました。危険さえなければ、俺だって召喚魔法はこの目でしっかり拝みたいと思っている。なので職員室で先生に事情を説明して、魔法を使うための申請と監督役をお願いしたのだ。アリシアは家が近い少年Bと一緒に下校し、遅くなることを母さんに連絡しておいた。俺の場合、いざって時は転移で帰れるからな。そして現在、俺たちは放課後の魔法訓練場で魔法の研修会として受けさせてもらっていた。
もしリトスに召喚魔法を実際に行えるだけの技量がないなら、先生だって止めたはずだろう。それでもこうして監督役として来てくれたってことは、少年Eにはそれだけの技量があると判断されているというわけだ。魔法に関しては個人差が大きいため、魔法を行使する力量があるならある程度の問題なんかはクリアーしやすいのだ。
「召喚に大切なことは魔法と同じようにイメージです。詠唱によってそれを強固にし、魔力を使って空間同士を繋げるようにね。焦らずにやれば大丈夫だから。今回は急だったし、自分が想像しやすい小さいものでも召喚してみたらいいわ」
「想像しやすいもの…」
先生からのアドバイスに少年Eは小さくうなずき、自身の持つデバイスを手に持つ。思えば、個人持ちでデバイスを持
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