第三十七話 少年期S
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べていた。この騒動を起こしたリトスは、ミノさんが危険生物でないと知っていたからなのか割と平然としている。お前、ちょっとは表情筋を動かせよ。
どうやらこのミノさん、本当におとなしい生き物らしく他の管理世界では力仕事の専門として人と共存しているらしい。先生も一応警戒は解かないでいてくれているが、頭の上にできたたんこぶがマジで痛むのか、ミノさんはずっと頭を抱えたままだった。なんかごめん。
「リトス君、魔法を使う時は集中力を保たなければなりません。この牛さんを保護してもらったら、あとでお話ですよ」
「……ごめんなさい」
少年Eが頭を先生に下げ、俺たちにも謝る。召喚魔法が見たいって言ったのはこっちだし、集中している時に気をそらすような会話をしていた俺たちも悪いとみんなで謝りあう。そんな俺たちを優しい目で見つめる先生と、何故かミノさん。なんか、本当にごめんなさい。
「あの、先生。相談」
「どうしたの、リトス君」
「僕の召喚獣にしてもいい?」
先生の隣に戻り、ミノさんを指さしながら質問する少年E。ミノさん自身はミッドチルダの森に野生として普通に生活しているので、管理局の保護対象生物というわけではない。なので、ここで少年Eの召喚獣として契約してしまうことは不可能ではないということか。こいつかなり肝が据わっているというかなんというか。
先生としては、契約に関しては本人と契約する相手とで同意が示されれば大丈夫らしい。一応管理局に届け出を出す必要はあるが、おそらく通るとのこと。ミノさんは温厚だし力持ちなので、召喚獣として契約する魔導師がいないわけではないそうだ。召喚自体は事故だったとはいえ、ある意味奇妙な縁ができたことにかわりはないしな。
「僕の召喚獣になって下さい」
『ブルゥ』
先生から確認を取った後、ミノさんにトテトテと近づき、手を差し伸べるリトス。子どもを恐慌状態に陥らせるような顔の相手なのに、無表情。感動的な初めての召喚獣契約のはずなのに、無表情。もうお前はそれでいいよ。目つぶし、たんこぶを一方的に食らわされたのに、許してくれそうなミノさんなら大丈夫だろ。
突拍子のないリトスの行動に困惑しながらも、ミノさんはおずおずと大きな指を一本突き出し、リトスの伸ばした手にそっと合わせてくれた。これは了承という意味だろうか。先生に目を向けてみると、うなずいて肯定してくれた。なんて寛大なんだ、ミノさん。
「リトス君、契約が大丈夫そうなら召喚獣に名前を付けてあげて。契約の言葉の後に、彼の名前をつけてあげたらいいから」
「はい」
リトスは静かに息を吐き、召喚獣となるミノさんをじっと見つめる。そしてミノさんと握手をしていた方とは逆の手、グローブ型のデバイスを装着したその手を空へと掲げた。その姿はすご
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