暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
A's編 その想いを力に変えて
30話:深まる謎
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意思疎通の為の対話能力は前の事件でも確認されてるんだけどね、感情を見せたって例は、今までにないの」
「“闇の書の蒐集”と“主の護衛”、彼等の役目はそれだけですものね」
それを行うだけに作り上げられたプログラム。それが彼等の存在、か……
「でも、あの帽子の子―――ヴィータちゃんは、怒ったり悲しんでたりしてたし…」
「シグナムからも、はっきり人格を感じました。成すべきことがある、って…仲間と、主の為だって」
「俺の時も、同じような事を言ってたな。アルフも、あの男から何か聞いてないか?」
「え、え〜って…なんて言ってたかな?…確か、『主は自分達の行動について知らない。全部自分達の所為だ』…とかなんとか」
おいおい…数少ない情報なんだから、ちゃんと覚えておいてくれないと…。しかし、主が知らないのに主の為に動いているのか…それとも嘘を言っている?いや可能性としてはあるだろうが……
そう思考の海に入り込もうとした時、正面に立つクロノの表情が変わった。
「“主の為”…か…」
その呟きに、その部屋にいた全員がクロノを見る。そのとき、俺はクロノの表情に疑問を感じた。いや、もっと深く言えば、違和感と言ったところか。
するとモニターが消え、部屋も明るくなる。
「まぁ、それについては、捜査に当たっている局員達からの情報を待ちましょっか」
「転移頻度から見ても、主がこの付近にいるのは確実ですし、案外主の方が先に捕まるかもしれません」
「あ〜、それはわかりやすくていいねぇ」
クロノの言葉にアルフが明るい声で反応する。ていうか、今気づいたが、お前それ寒くないのか?
「だね。闇の書の完成前なら、持ち主も普通の魔導師だろうし」
「それにしても、闇の書についてもう少し詳しいデータが欲しいな…」
そう思案顔で周りを見て、ふとクロノの目線が一点で止まる。
少し笑みを浮べながらその視線の先に向かう。そこにいる……なのは、ではなく、その肩に乗っているフェレット状態のユーノに声をかける。
「ユーノ、明日から少し頼みたい事がある」
「え?いいけど…」
俺にはそのクロノの笑みが、少し恐いものに思えた。
情報交換を終え、俺となのは、ついでにユーノは、ハラオウン家から高町家へ帰宅する。
[リンディさん、ちょっといいか?]
[あら士君、何かしら?]
その途中、俺はリンディさんに念話を繋いだ。少しばかり気になる事について。
[闇の書について話すクロノの表情、何か違和感を感じたんだが、何かあるのか?]
[な、何かって…?]
明らかに動揺しているのがわかる返し方だ。どうやら当たりのようだ。
そう思いながら、俺は続ける。
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