暁 〜小説投稿サイト〜
剣の丘に花は咲く 
第二章 風のアルビオン
プロローグ 夢
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


「い、いや……知らない」
「ハァ〜……無自覚なのが厄介ね」

 士郎の答えに、赤い女性は呆れたようにため息を吐く。

「士郎、帰るわよ」
「帰るって、どこに」
「日本よ」
「日本?」

 呆気にとられる士郎に、赤い女性は一気に何匹もの苦虫を食べたような表情になると、誰に言うともなく口の中で小さく呟く。

「結局変えられないの……」
 
 士郎を見ながらも、赤い女性は横目で士郎が抱えていた女性を見るとため息をつく。

「はぁ……日本には今、ルヴィアと桜がいるわ」
「桜はいいが、ルヴィアも?」

 士郎は疑問の眼差しで、赤い女性を見る。

「ええ……あと、橙子さんもね」
「なっ! 一体……何をするつもりなんだ」

 恐れを滲ませた顔で、士郎は赤い女性を見上げている。
 赤い女性は悲し気な目で士郎を見下ろしていた……が、どこか別の何かを見ているようにルイズは感じた。

「……馬鹿を助けるのよ」

 



 深夜―――ベッドの中、ルイズは目を覚ます。
 寝起きにもかかわらず、ルイズの意識はハッキリとしていた。ルイズはドアの横で壁を背に寝ている自分の使い魔を、涙で潤む瞳で見つめ、小さく囁くように呟いた。

「シロウ……あなた、一体……」

 ルイズの呟きに答えるものは無く、ただ、窓の向こうに輝く二つの月が静かに二人の姿を照らし出していた……。
 




[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ