第二章 風のアルビオン
プロローグ 夢
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「い、いや……知らない」
「ハァ〜……無自覚なのが厄介ね」
士郎の答えに、赤い女性は呆れたようにため息を吐く。
「士郎、帰るわよ」
「帰るって、どこに」
「日本よ」
「日本?」
呆気にとられる士郎に、赤い女性は一気に何匹もの苦虫を食べたような表情になると、誰に言うともなく口の中で小さく呟く。
「結局変えられないの……」
士郎を見ながらも、赤い女性は横目で士郎が抱えていた女性を見るとため息をつく。
「はぁ……日本には今、ルヴィアと桜がいるわ」
「桜はいいが、ルヴィアも?」
士郎は疑問の眼差しで、赤い女性を見る。
「ええ……あと、橙子さんもね」
「なっ! 一体……何をするつもりなんだ」
恐れを滲ませた顔で、士郎は赤い女性を見上げている。
赤い女性は悲し気な目で士郎を見下ろしていた……が、どこか別の何かを見ているようにルイズは感じた。
「……馬鹿を助けるのよ」
深夜―――ベッドの中、ルイズは目を覚ます。
寝起きにもかかわらず、ルイズの意識はハッキリとしていた。ルイズはドアの横で壁を背に寝ている自分の使い魔を、涙で潤む瞳で見つめ、小さく囁くように呟いた。
「シロウ……あなた、一体……」
ルイズの呟きに答えるものは無く、ただ、窓の向こうに輝く二つの月が静かに二人の姿を照らし出していた……。
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