第二十三話 悩み
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ミネルバがオーブ艦隊やアークエンジェルと戦っていた頃、ディオキア基地に辿り着いていたラー・カイラム部隊はMSの調整や艦のデータ収集に忙しく、クラウもステラをつれて病院で治療活動を行っていた。
そうした中、ラー・カイラムの艦長であるグラスゴーがステラの居る病室の前でクラウと話し合っていた。いや、正確に言えば要求を突きつけていた。
「つまり、あのエクステンデットを解剖しろと?」
「ああ、そうだ。あんなもの生かしておいて得なんてないだろう―――解剖してデータを送るべきだと思うんだが?」
まあ、意見としては確かに間違っていない。捕虜にしたのは生きたエクステンデットだ。データを取るのなら生きているうちに解剖したほうが良いことは確かだといえる。
「俺は医者じゃないけどさ…彼女は俺の患者だ。モノ扱いすることも気に入らないな。何より、そんなことしたらシンに面目が立たない」
「断ると?議長にそう報告していいのか?」
あからさまに脅してくるグラスゴー。しかし、その程度の脅しは正直意味がない。
「構わないさ。大体なんで捕虜に人道的処置をすることに問題があるって言うんだ?報告したいなら好きにすればいいさ。その時は勝手にこっちで見限るからな」
「後悔することになるぞ?」
鼻で笑い飛ばし、クラウはそのまま医務室に戻る。元々忙しい身で更に自分からステラの治療という多忙を請け負ったのだ。その時、シンにステラのために勝てと言ったのだ。
そのくらいやってのけねばシンに顔向けできないと思い、ステラの治療に戻っていった。
「気に入らんな……」
ナチュラルの、それもエクステンデットなどという訳のわからない強化人間に情けを掛けるなど信じられない。あれが暴走して他の兵士に被害がいったらどうするというのだと思う。
「ラー・カイラムもアイツが造ったというが、それだけで権限が上と言うのか?」
フェイスでも無いのにそういった特殊な権限を持つことも余り好ましくない。連合のように上から下まで頭を固くするようなことは無くとも、ここまで柔軟―――というか自分勝手にされてもこちらも困ると言うものだ。
苛立ちを抑えきれないままにグラスゴーは艦に戻っていった。
◇
「さて―――」
シンからというかミネルバから預かったステラを治療―――正確に言えば再調整し直すことにする。何故、治療でないのかという理由は主に三つ。
一つ目は単純に薬の問題。現代の治療でも治せない病気というものや薬物の後遺症が残るものは存在する。その時点で完治するというのはどっちみち不可能なのだ。まあ知識を最大限まで使えば出来ないことも無いだろうが余計に厄介ごとを抱え込むことになるだろうし、何より今以上に手間が掛かる。
二つ目はディオキア基地の
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