第二十三話 悩み
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海を呆然と見つめる。
「どうした?なんか見つけたのか?」
「いや、何か足りねえなーって思って……こう、ずっと海見てたやつが居たような気がするんだけどさ……」
何か思い出せそうで思い出せない記憶。そんな違和感だらけのちぐはぐな記憶が頭の中を巡っていた。
「―――確かに、な?」
スティングも違和感を消しきれないのかそう呟いていた。
◇
「どうした、アスラン?」
ミネルバが港に着き、補給を受けている間、アスランが甲板でたそがれている様子にマーレが声を掛けた。
「マーレか……いや、大したことじゃないんだ」
「アークエンジェルのことか?」
「……ああ」
溜息をつく様子を見せながらアスランは自身のやったことが本当に正しかったのかを思い悩んでいた。キラ達を止めたことは必要だったことだ。だが、自分にも他にやり方があったんじゃないかとそう思ってしまう。
以前あったときにもっとうまく説得できたんじゃないのか?戦闘に参加してきたときにすぐに撤退させる事だって出来たんじゃないのか?そう思ってしまうのだ。
「お前な、自分がやることは何でも成功するって思ってるのか?」
「―――え?」
アスランにとって突然見当違いと思えるようなことを言われてしまう。何でも出来るなんて思ってはいない。ただもう少しだけうまく出来たんじゃないのかって思ってるだけなのだ。
「ハァ、ガラじゃねえんだが……もう少し、ちょっとだけ―――そういう言葉って言い出したら際限ないだろ?例えばお前、料理人が自分の作る料理に完全に満足できる日ってあると思うか?」
そう言われてハッとなる。確かにそうだろう。そういったことに限度なんて無い。一つうまくいけば別の事に目がいくものだ。
「だけど―――俺は……本当に討ってよかったのかって―――」
そう思いつつも愚痴をこぼすようにそう言おうとした瞬間、マーレが睨みつけていることに気付く。
「チッ、だったら討つ以外に手段があるって言うのか?戦闘中に説得してたんだろ、どうせ?無理に決まってるんだよ。敵は討たなきゃ始まらねえ」
「だが、撃たれたから撃って、撃ったから撃たれて―――」
「戦争が終わるのかって?じゃあ聞くが、終わらなかった戦争ってあるのか?」
「あ―――でも」
有史以来、戦争が途絶えたことなど無いが、終わらない戦争もまた存在しない。
「そういうことだ。結局は終わるんだよ。それがどういう形であれ、な……」
「……」
アスランは黙り込んでそのまま海を眺める。マーレはその様子を見てこれ以上は面倒くさいとばかりにその場から離れだした。
「俺達がやるのはその終焉をどれだけマシなものにするかなんだよ。今修理が間に合
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