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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
3rd bullet 《the last days of Roanapur U》
chapter 01 : myself
#52 "H?nsel und Gretel "
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ンタの考えなんて知らない。
別に知ろうとも思わないね」

そこで一旦言葉を切り、カップを持ち上げるヨランダ。
俺は既に飲み干してしまい、空になったカップの底から視線を外せなかった。
ヨランダの、俺の過去の全てを知る女性の、顔を見る事がどうしても出来なかった。
これではチビ助(タイニートット)などと呼ばれてもしょうがないか………

「何だって好きにやりゃいいのさ。自分のやりたいようにね。

子供に同情した? いいじゃないか。
子供だから同情した? いいじゃないか。
悲惨な過去を持っているから同情した? いいじゃないか。

人を殺したから殺す? いいじゃないか。
街を護る為に殺す? いいじゃないか。
もう救えないから殺す? いいじゃないか。

自分の過去を想って逃がす? いいじゃないか。
バラライカの為に殺す? いいじゃないか。
"あの娘"を思い出すから逃がす? いいじゃないか。
金の為に殺す? いいじゃないか。

アンタは自由なんだ。
何をしたっていい。何もしなくたっていい。
銃振りかざして街中に飛び込んで行ったっていい。
頭抱えて布団被ってガタガタ部屋の隅で震えてたっていい。
双子の味方をしてバラライカ相手に喧嘩売ったっていい。
今すぐ張のとこまで走って、自分は犯人じゃないなんて主張したっていい。

正直アンタが羨ましいよ。
この年齢(とし)になっちゃあ、やりたくてもやれない事ってのが増えてくる。
単純に身体の問題だったり、立場だったり、商売上の事だったり………

その点アンタは良いね。"ゼロ"」

わざわざ人の名前にアクセントを付けて呼んで下さるシスターに、俺は感謝の言葉も告げられず、ただ俯き続けていた。
やはりここには来るべきではなかったか………

「"ゼロ"。
どうしてバラライカや張の奴がアンタの事を気にすると思う?
いや、あの二人だけじゃないね。
ダッチやレヴィの嬢ちゃん。あの日本人の坊やにベニー。
ラグーンの人間だけじゃない。
ロアナプラ(この街)に住んでる連中は多かれ少なかれアンタに興味を持ってる。
アンタの事を気にしてる。
それは一体何故だと思う?」

何故?
そんな事は知らない。
俺に分かる筈もない。
俺は、

「それはね………」

ドカドカと教会の床を踏み鳴らす音が応接室に響き渡ったのはその時だった。
徐々に近付いてくるその音に加え、とっくに聞き慣れてしまった女の声が俺の耳に届いたのは会話が途切れてから数瞬の後だったろうか。

「ババア!ババア!ゼロの奴は此処に来てんのか!答えろ!」

………あの様子じゃ、すぐここまでたどり着きそうだな。
室内に響き渡る相棒の声を聞きながら俺は背筋を伸ばした。
彼女の前でみっとも
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