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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
3rd bullet 《the last days of Roanapur U》
chapter 01 : myself
#52 "H?nsel und Gretel "
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ような奴はフィルムでは満足出来ずに、自分で獲物を調達しに行くのだろうし。
或いは金に不自由してない連中ならホームパーティ(・・・・・・・・・・)でも開けばいいだけの話だ。
(映像作品と生舞台のどちらがより優れた芸術かについても、ローワンは熱く語りたがっていた。
残念ながら今回は拝聴する時間が無かったが)

こう考えてくるとスナッフ・フィルムなんてもんが良く商売として成り立つものだ。
もしくは作っている側も見ている側も、商売目的ではなく単に同好の士として趣味を共有しているだけなのだろうか。
あまり、いや全く覗き込もうとうは思わない世界だが。

「しかし成る程ねえ………
ルーマニアからやってきた子供たちだったのかい。
良くもまあ生き延びてきたもんだね。いくら一人でなかったといってもさ」

生き延びてきた。
本当に良く生き延びてこれていったものだ。

灰色の孤児院。
埃立つ薄暗いストリート。
欲と脂にまみれた豚共の屋敷。

ほんの少し。
ほんの少しだけ何かが変わっていればあの二人はこうはならなかった筈なんだ。
他の大勢の子どもたちと同じように、永遠たる天上へと招かれていた事だったろう。
そんなものがあれば。そんな場所を彼等が望んでいたとすればだが。

だがあの二人は生き延びた。生き延びてしまった。

「どうして、あの二人がそう(・・・)なってしまったか。想像する事は出来るけどね。
最初は余興のつもりだったんだろうよ。
『死にたくなかったら、お前達自身の手でコイツらを殺せ』とでも言ったんだろうさ。
ゲラゲラ笑いながらね。

子供らは必死だったろう。ただ必死で生き延びようとしたんだろう。
そうして夜を一つ、また一つと越えていったんだろう。
腐った変態共に喜ばれるように。嫌われないように。

大人は物覚えのいい子供は好きだからね。
芸を仕込むように色んな事を教えていったんだろう。
色んな殺し方を教えていったんだろう。
さぞ楽しかった事だろうさ」

「………」

俺にはあの双子に同情する資格はない。
いや、この世界に同情する資格を持つ者なんて居やしない。
なぜなら、

「同情は人を傷付ける。だから自分は彼らに同情しない。そんな風に考えてるかい?
それともこう考えているのかい?
同情なんて、単に自分の優越感を満たす為の偽善だと。
相手がとても可哀想な人間だったら自分はまだ"マシ"だと思えるから」

「………」

「アンタが今度の件でどう動くつもりかは知らないよ。
その"ヘンゼル"と"グレーテル"の二人にどんな感情を持って、どうしようとしているかも知らない。
救おうというのか。
殺そうというのか。
逃がそうというのか。
捕らえようというのか。
アタシはア
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