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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
3rd bullet 《the last days of Roanapur U》
chapter 01 : myself
#52 "H?nsel und Gretel "
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ラライカのあれは十中八九
ハッタリ
(
ブラフ
)
さ。
なんせ今度の一件がそんな子供に引き起こされてたなんて、アタシですら知らなかったんだからね。
マフィアの真似事も満足に出来ない不器用な軍人くずれ共じゃ、真相になんて至れるはずはないさ」
「………」
俺は特に感想は洩らさず、黙ったまま紅茶のカップを傾ける。
事務所じゃ専らコーヒーしか飲んでいなかったせいか、中々新鮮ではあった。
「フフ。まあ、でもあの中で一人は解ってる訳だよね。今度の一連の事件の真相が。
なにしろソイツ自身が連れて来たんだろ?その"ヘンゼル"と"グレーテル"をさ」
「………」
まあ、そうなんだろうな。
だからこそあれほど動揺していたんだろう。テープ越しでもハッキリと分かる程にな。
「"ヘンゼル"と"グレーテル"
確かに聞き覚えがあるよ。
そっちの世界
(
・・・・・・・
)
じゃ結構な有名人らしいね」
「………」
ローワンに調べてもらった結果は全くの俺の予想通り。
そう。
全く俺の予想通りだった。
「
スナッフ
(
殺人
)
ビデオってやつの市場は意外と狭いんだよね。キッズ・ポルノに比べりゃ遥かにさ。
それで出演者が双子の子供で中々の名優ときちゃあ、まあ名前も売れるってもんだよね。
だからスカウトしてきたんだろうけど、さ。
さすがにスター様は我が儘でおありのようだ。
下品なマフィア風情の言う事なんざ聞きゃしないか」
「………」
ヨランダの言葉に捕捉するならスナッフ・フィルムの需要自体は決して低くない。
が、供給する側としてはそれほど旨味のある商売ではない、らしい。
ここに来る前、『ジャックポット』でローワンの奴から雑談混じりに聞いた話では(レヴィも今回は大人しく聞いていた。意外と好奇心は旺盛なようだ)スナッフ・フィルム製作、販売には様々な問題があるのだそうだ。
一つは単純だが、"出演者"が一回限りしか出られないという点。
つまり作品の度に"俳優"を探し出して来なくてはならない訳だ。
しかも当然ながら"主演俳優"にはそれなりの華が求められる。
(まあ、双子の出演作品では彼等こそが主役なのだが)
人気があるのはやはり若く美しい女か、可愛らしい子供だとか。
いかにもホームレスといった老年男性では盛り上がりに欠けるのだそうだ。
ただ、若い女や子供では他にいくらでも使い
途
(
みち
)
がある。
一回限りの使い捨てにするのは躊躇われる、という場合もあるだろう。
また別の問題点として販売価格も考慮しなくてはいけない、らしい。
スナッフ・フィルムの需要は低くないとは言え、それはあくまで恐いもの見たさ故だ。
大金を投じてでも見たい、買いたいという輩はそう多いはずもない。
そこまで執着する
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