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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
3rd bullet 《the last days of Roanapur U》
chapter 01 : myself
#52 "H?nsel und Gretel "
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一緒に
一緒に

ぼくとねえさまで
私とにいさまで

………
………

………………
………………

………………………
………………………

























「ん?聞き終わったようだね。
それで感想はどうだい?
街中のマフィア共から狙われることになった今の心境ってやつはさ」

先程行われたばかりの連絡会の様子を録音したテープ。
それを聞き終わった俺に、ヨランダが声を掛けてくる。
さて、心境と言われてもな………

「ふふ。まあアンタも中々の大物に成長したじゃないか。育ててやったアタシとしても鼻が高いよ。
まさか、あの泣き虫だったおチビさん(タイニートット)がこれ程の男になるたあね。
いや、長生きもしてみるもんだ」

育ててやった、ね。
反論の台詞が三十ほど即座に涌き出て来たが、実際に俺の口から出てきたのは極めて簡潔な挨拶の言葉。
我ながら愛想がないとも思うが女相手に口で挑もうなど、かのドン・キホーテ卿でも尻込みする勝負だろう。
それが育ての親(・・・・・・)とくれば尚更だ。
まして半世紀以上も世界の裏側を見続けてきた隻眼の老シスターが相手ときては、即時全面降伏以外に採りうる選択肢はない。

まあ、俺もそれなりには成長したという事なのだろう。
目の前に座る婆さんのそれに比べれば三分の一程度の人生しか過ごしてはいないし、経験値で言えば三十分の一にも届いてはいないだろうが。

「テープは聞かせてもらった。
色々やらなきゃならない事も出来たようだ。これで失礼する」

そう告げて応接室に置かれたテーブルの上にテープが入ったままの録音機を置く。
そして、そのまま振り向いて出ていこうとしたのだが、

「まあ、そう焦る事もないだろ。たまにはゆっくりしていきなよ。
第一呑気に街をぶらつけるような状況じゃなくなってきたようじゃないか。
少しここで紅茶でも飲んで考えを纏めていったらどうだい?
どうせラグーン商会の方だって仕事なんてありゃしないんだろ。
ダッチ坊やだって怒りゃしないさ」

「………」

ダッチの名前を出されたから、という訳ではないが俺は黙ってソファに腰を落とした。
紅茶を淹れるヨランダの手元を見ながら、膝の上で両手を組む。

………正直少し焦っていたのかもしれない。
ヨランダの言う通り、俺が今街を歩くのは些か問題があるだろう。
いかんな。こういう時こそ冷静にならねば………

「まあ、こんな時こそ冷静にならなきゃいけないよ。
昔教えてやっただろ?
人間どんな時でもお茶の一杯を楽しめるくらいの心の余裕は持ってなきゃいけないって。
なに、心配する事たあ無い。

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