第二章
探しモノは大事なモノ?
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謎の少女と探しモノを思い出す旅が始まった
形だけ見たら半記憶喪失の私が
少女を誘拐しているように思われるだろう
否、私は彼女と遊んでいるだけなのである!
そう思ってほしい
まあ気にしなければ兄妹の先の見えない散歩程度に思われるだろう
さて勝手についてくるこの子を気にするよりは私の探しモノを思い出す方が重要だ
悩んでいても一向に出ないようなので
他人の力を借りることにした
といっても彼女に聞いたところで言葉が宙を切るだけだという事は
さきほど理解したので別の人の力が必要であろう
そうこう思案していると前から鴨ではなく老人が歩いてくるではないか
思い出すことのスペシャリストが歩いてくるとは私はついているようだ
早速話しかけることにした
「すみません、少し聞きたいことがあるのですが」
「なんじゃ」
しっかり聞いてくれるようである。流石老人である!
「私は探しモノを思い出すところから始めてるのですが、
そういう時はどのように思い出すといいでしょうかね?」
「それならまずは探そうと思った場所に戻ると良いぞ
意外とその場所でなら思い出すことも多い」
確かにそういうことはあるが現状全てを投げ出してきた私にとって
帰る場所は存在しないのである
どこまで戻れば思い出すのか、それを考えるのも不毛な時間と思える
「他にはないでしょうか」
「う〜ん、それなら一番大事なモノを考えてみるのはどうだ
意外にそれが探しモノと繋がるかもしれんぞ」
確かにこれならまだ考えようがあるかもしれない
少しヒントが貰えたようなのでこのままお礼を言って別れることにした
自分にとって一番大事なモノは何だろうか?
名誉?財産?役職?
そのようなモノは捨ててきた訳だし
捨てたモノを探す旅に出たわけではないだろう
ではそれほどのモノを捨ててまで私は何が大事だったのだろうか
そう考えながら歩いていると彼女が指差すではないか
ふとその方向を見上げると豪邸が私たちの前に立っているではないか
まさしく権力と生活力を象徴するモノ
これが何か関係するのだろうか?
そう考えていると一つ思う事がある
住む所
私はこの住む場所すら捨ててきたのである
あの場所にはなかった生きる場所
人が最も最初に大事にするモノは生きる場所ではないだろうか?
それが満たされているからこそ安心して他の事を大事に思えるのではないだろうか?
私が本当に大事にしたかったものは生きる場所なのかもしれない
なら私が見つけるべきは私が生きられる場所なのではないか?
「私は私が生きていける場所を探し
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