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Fate/stay night -the last fencer-
第一部
それぞれのマスターたち
選択の意思
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。治療するからさっさとついてきて」
「と、遠坂、そういう問題じゃ……」
怪我をしているほうの腕を引き、無理やり士郎を連れ去る。
穴の開いた腕を引かれてはたまらず、士郎も付いていかざるを得ない。
ドSか、アイツは。
「じゃあね、黎慈。もし生きてたらまた会いましょう」
(そういう言葉も余分だってんだよ……お前もお人好しなのは変わんねぇな…………)
知らず苦笑が漏れる。
魔術師なんて因果な稼業に身を置いているくせに、光の強い奴らだ。
少しだけ、眩しさを感じる。
自分が暗闇に居るだなんて自嘲するつもりはないが、さすがにあいつらほど光に強く生きられない。
それは今からわかること。
俺が感知できる範囲から二人が出たのを確認し、フェンサーに合図を出そうとしたそのとき────
「やあ、奇遇だね黒守」
「──────慎二」
雑木林の木の陰から、間桐慎二が姿を現した。
「驚いたかい? 実は僕も聖杯に選ばれたマスターなんだよ。邪魔な奴も居なくなったみたいだし、少し話そうじゃないか」
「話すことなんて何もないだろ。敵同士殺し合うだけだ……ああ、命乞いか遺言なら聞いてやるよ」
「そんなに焦るなよ。まず前提が違う。僕は殺し合う気なんかないんだ」
「は?」
おまえのサーヴァントらしいライダーに、俺も士郎も殺されかけたんだが?
フェンサーとライダーは警戒し合って膠着状態だ。
恐らく、マスターである俺か慎二の指示を与えられるまでそのままいるつもりだろう。
「あぁ、ライダーをけしかけたことは謝るよ。間桐は魔術を伝える家系だが、魔術回路は失われていてね。
マスターに選ばれたはいいが、サーヴァントを制御するにも一苦労なんだよ」
「で、魔術回路もない、ロクに使い魔も扱えない……そんな話がしたかったのか?」
「っ……いいからもう少し聞けよ。僕は生き残れればそれでいい。こんな馬鹿げた戦いに、命を賭けるつもりなんて全くないんだ。
魔術師としての栄光、勝者としての名誉? そんなもの必要ないし、聖杯だっていらない…………だから、僕と手を組まないか?」
「……どういう、ことだ?」
「ライダーはじゃじゃ馬だけど、戦力としては役に立つ。黒守や衛宮にけしかけたのは、ライダーが反抗しても簡単に殺されない強さを持っているかを確かめたかったんだ。
つまり僕と組むのなら、ライダーという戦力とこの戦争の賞品である聖杯は黒守にあげるってことさ。僕が求めるのは、ただ生き延びることだけだからね」
なるほど。理屈は立っているし、筋も通っている。
自ら姿を見せてまで内情を明かしたのは誠意のつもりだろう。
あのときのライダーに殺す気がなかったと言えば確かにそう思
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