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Fate/stay night -the last fencer-
第一部
それぞれのマスターたち
選択の意思
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サーヴァントの強制召喚。

 しかし考える猶予など数秒もなく。





「ではまず、間違ったその目から────」
「別に士郎は間違っちゃいないだろ」





 雑木林に響く声。

 光弾と雷撃が迸るのと、ライダーが飛び退くのは紙一重の差だった。

 紫電が彼女の髪先に触れて消える。
 やはり低位魔術では対魔術によって掻き消されるな。

「────────」
「今日は逃がさねぇぞ」
「ッ!」
「お久しぶり、ライダー?」

 飛び退いた勢いのままに離脱しようとするが、回り込ませていたフェンサーが行かせない。

 挟撃は兵法の基本。
 俺だけならこちらを突破できるだろうが、それだとフェンサーに背を向けることになる。
 サーヴァントに背を向けるか、人間の魔術師に背を向けるかを取るなら、間違いなく無視するべきはマスターの方だ。

「マスターを狙うのは効率的だが……マスターしか狙わないのは、他のサーヴァントに勝つ自信がねぇからか?」
「………………」
「いや違うな。現に俺も士郎も仕留められてないんだから、オマエもたかが知れてるってことだよな」

 背中しか見えていないというのに、こちらに向けられている敵意を感じる。

 彼女自身にも思うところがあるのか、俺の言い分が気に入らないらしい。
 そりゃあ神話に謳われし英霊が人間ごときに扱き下ろされれば、気に食わないのも当然だ。

 彼、彼女らからすれば、格下なのは確実に俺たちの側なのだから。

「士郎、黎慈!」

 凛が駆けてくる。どうやら追い付いたようだ。
 士郎も腕の鉄杭を引き抜き、こちらに走り寄る。

「テメェら手を出すなよ。コイツは俺とフェンサーのモンだ。凛、安全域まで士郎を連れて退け」
「何言ってんだ! おまえ一人置いていけるわけないだろ!?」
「ちょっと上手くいったからって、自分が対等にやり合えると思うんじゃねぇぞ士郎。怪我したオマエと魔力を消耗してる凛が居ても仕方ないだろ。
 今からサーヴァントを呼んだとしてもコイツは俺の獲物だ、やらねぇぞ」

 睨み付けて言い放った。

 あの日の夜から、ライダーには借りがある。
 今日まで引っ張る羽目になってしまったが、ここで決着をつけてやる。

 フェンサーが居るなら勝負条件は対等だ。
 後はどちらが上かを証明するだけでいい。

「士郎、間違えるなよ。俺たちは敵同士だ。利害の一致から協力し合うことはあっても、見返り無しに助け合うことなんて絶対にない。
 この状況でテメェらは邪魔だ。どっかに消えてろ」
「だけど……!」
「行くわよ士郎。黎慈の言い分が正しいのはわかるでしょ。
 私を庇った傷を負ったまま戦って、片腕にでもなられたら寝覚めが悪いの
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