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Fate/stay night -the last fencer-
第一部
それぞれのマスターたち
選択の意思
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視認など出来ず、ましてや防ぐことなど出来るはずがない死の一撃。



 だが防ぐ、弾く、受け流す。



 ここまでで既に六度。

 それだけの数続けて起こることを、果たして偶然と言えるのか?

「っ……まさか」

 呟かれた困惑の声は、襲撃者たるライダーのものだ。
 彼女からしてみれば少年など取るに足らない存在であり、本来なら初撃で終わらせられるはずの相手。

 それをここまで凌がれている。

 彼女に矜持というものがあるのなら、微塵に砕かれるほどの衝撃。

 士郎は未熟と言えど魔術師だ。戦いの心得も多少はあるだろう。
 だがそんなものは、サーヴァントである彼女にとっては些末事だ。

 英霊とは人間如きが抗することの出来る存在ではなく、それは超常を成す魔術師であっても例外ではない。

 真に本気を出してはいないが、手心を加えているつもりもない。
 彼女の決めた力の上限内といえど、その範囲内では一切の加減はしていないのだ。

 その理屈で言えば、間違いなく彼女は本気だった。

 それを幾度となく捌かれる。

「はっ、はっ──────ッ!」

 右後方側面から迫る牙をまたしても弾く。

 危険感知に長けているのか、直感に優れているのか。
 士郎は戦闘において、研ぎ澄まされた第六感を瞬間的に開花させていた。

 このままなら、丸一日だって戦っていられる。

 だが現実に手持ちの武器は限界を迎えようとしており、戦況を覆される要因は他にもあり────

「ハ、大したことないな。他のサーヴァントに比べたら迫力不足だ────!」

 おまえなど怖くないと。

 そう勇み叫んだのも束の間、いきなり右腕が引き上げられる。
 杭の刺さった腕をそのまま引き千切るかの如き勢いで、士郎は地面から足を離した。

「ぐッ……くそ……!」

 木の枝を支点に、井戸汲みの滑車が回るように鎖が引き摺り上げられる。
 鎖から繋がる鉄杭、更にそれに刺し貫かれた士郎を容易く宙吊りに晒す。

 痛みに呻く間もなく吊り上げられ、その先には樹上で待ち受ける大蛇の姿。

「さて、先ほどは何か興味深いことを仰られていたようですが」

 ライダーは蛇が獲物に擦り寄るように士郎に近付く。

 抵抗すら出来ない状態で為されるがままだ。

「私が他のサーヴァントに劣る、と。
 困りましたね。その認識を改めさせてからでないと、貴方を殺すのは難しい」

 微笑すら浮かべながら、自身に対する侮辱に憤りを見せる。

 目前にはライダー。対処するにはどうするか。
 セイバーを喚ぶことも選択肢に含めて士郎は逡巡する。

 残った左腕で応戦、右腕の杭を引き抜いて一時退避、令呪を使用しての
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