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Fate/stay night -the last fencer-
第一部
それぞれのマスターたち
選択の意思
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場合は、相手がマスターであるか確認する術がほとんどないのである。
と、そんな場合ではないか。
今はとにかく士郎を追わなければ。
「来い、フェンサー」
呼び掛けから十秒。
俺の三歩ほど後ろに実体化し現れる銀の少女。
静謐さを感じさせる表情で、凛と倒れた女子生徒を見やる。
「黎慈、フェンサーを連れてたの!?」
かなり驚いた様子で声を上げる。
サーヴァントを連れていながらあんな鬼ごっこをしていたことが疑問なのか。
マスター同士は互いを感知出来るが、霊体化させたサーヴァントの存在を感知することは出来ない。
逆にサーヴァント同士は互いを感知出来るが、アーチャーを傍に置いていない今はフェンサーの所在を知ることは出来なかったのだろう。
アーチャーを離す前にフェンサーの存在の有無は調べたのかもしれない。
だが結界基点の探索に際してフェンサーを呼び戻し待機させていたので、それ以前に調べたのならタイミングが悪かったとしか言いようがない。
「マスターが楽しそうにしているのに、割り込むわけにもいかないでしょ?」
「え…………?」
「ご学友とお遊びになっているのを邪魔するほど、私も不粋じゃありませんもの」
こちらの内心を代弁するかのように言い放つ。
後半が丁寧口調になっているのは、凛に対する当て付けか。
別にフェンサーを呼ぶほどの事態でもなかっただけ。
俺一人で対処可能だったし、一工程の魔術から接続して詠唱魔術に持っていくことは出来たし。
リスクリターンの計算と、凛とは最後に全力で戦いたいこと、楽しければそれでいいと考えた俺の適当さ故だ。
相手が凛である以上、最低限この学校という場所で殺し合いにはならないだろうと踏んでいたのもあるといえばある。
「ま、そういうことだ。治療が終わったら、帰るなり追いかけてくるなり好きにしな」
あまり話している時間もない。
士郎……はどうでもいいが、ライダーに逃げられてはかなわない。
あの時に俺をボコってくれたお礼参りはしないとな。
ライダーを追い、校舎裏の雑木林に入ってから数刻。
腕に穴を開け、杭を穿たれたまま、士郎は戦闘を開始した。
いや、それは戦闘などではなく、彼がどれだけの間防衛していられるかという持久戦だ。
しかし彼の体力も魔力も有限であり、武器に至ってはその強度は戦闘に耐え得るような代物ではない。
絶命へのカウントダウンは始まっている。
何の自覚もなく己の領域に入ってきた獲物を仕留めるため、大蛇がその牙を剥く…………!
「くっ……せぁッ!」
手に持った鉄棒で、飛翔し落下してくる鉄杭を弾く。
敵の攻撃は
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