第九章 双月の舞踏会
第五話 変わる日常
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・》をどうするか……。
今のところコルベールのことで、そこまで気を付けるようなところはないなと判断した士郎が、至急解決しなければいけない問題として次に上げたのは、
「ミス・ヴァリエール。さっきからシロウさんの腕を掴んでいますけど、そろそろ手を離したらどうですか? シロウさんも疲れているみたいですし、わたしが部屋まで送りますので、あなたは生徒たちの相手でもしてはどうですか?」
「あら、ミス・ロングビル。ご心配には及びませんわ。わたしもシロウも疲れていませんので、ミス・ロングビルこそオールド・オスマンを放ったらかしにしてよろしいんですか?」
「シロウさんお腹は空いていませんか? マルコーさんが料理を作って待っているので一緒に行きましょう」
「あらあらメイド如きが横から入ってこないでくれないかしら?」
「……ミス・ツェルプストー。そろそろ手を離されてはどうですか? シロウさんも困っているようですし」
「あ〜ら、シロウの何処が困っているように見えるのかしら?」
自分を囲んで目から火花を散らしている四人の女性をどうするかという問題であった。
全員顔は笑っているが、目は全く笑っておらず、先程まで押し寄せるように近くにいた生徒たちも、今は遠巻きに見守っているだけ。
下手に声をかければそれが切っ掛けとなって爆発する恐れがあるため、士郎は先程からじっと黙り込んだままだ。
ここから無事に脱出するためには、特A級の複雑さを持つ爆弾を解体する際の慎重さと、バーサーカーの剣戟の中に飛び込む度胸が必要だと確信する士郎。
時間が経過する毎にルイズたちの会話の内容は殺伐となり始め。
士郎の焦りはそれに比例して急激な右肩上がりを続ける。
何度も深呼吸を繰り返した士郎は、最後に大きく息を吸いぐっと腹に力を込めると覚悟を決めた。
まずは自分に意識を向けさせようと口を開く士郎。
だがその時、士郎の脳裏にあの聖杯戦争で、セイバーとバーサーカーの剣戟の中に飛び込んだ際の光景が過ぎった。
あ、やばい。
幾千もの戦場を駆け抜けた士郎の勘が、これは駄目だと甲高い警鐘を響かせる。
しかし、士郎の口は止まらない。
士郎が口を開く気配を察したのか、ルイズたち四人の視線が一斉に向けられる。
必死に口を閉じようとする士郎だったが、意思に反し口は閉じない。
もう駄目だ。
そう士郎が絶望した時、
「あ、シロウさんやっと帰ってきた」
「遅いわよシロウ。全くどれだけ人を心配させれば気が済むのよ」
現れた救いの手ならぬ救いの声の持ち主は、この学院にいるはずのない人たちのものであった。
「なっ!? カトレアにジェシカ……どうしてここに?」
「え、うそっ! どうしてちいねえさまがここにいる
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