第九章 双月の舞踏会
第五話 変わる日常
[6/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
っくり行きましょうちいねえさま」
「はい。それじゃあいいですか。それぞれの歩幅に合わせますよ。はい一二、一二」
当事者たる士郎を抜かし、何やら決めたルイズたちは、互いに頷き合うと掛け声と共に一斉に足を動かし始めた。
全員が歩幅などを合わせ学院を目指し歩き出す。
ルイズたちに囲まれた士郎も、立ち止まることも出来ず流されるように共に歩き始めた。
四方からルイズたちに抱きつかれた姿のまま学院に向かう士郎は、助けを求めて周りを見渡すが、青々とした草原が広がるだけで誰もいない―――わけでもない。
草原の中に転がる四つの塊があった。
先程までピクリとも動かなかったそれは、何やら細かくピクピクと震えている。
耳をそば立てると微かに湿った音と共に怨嗟の声も聞こえてきた。
「あっ、早い早いルイズもう少しペース落として!」
「ルイズ、今度は遅いわよ。もう少し早く」
「あ〜もうっ! ジェシカもシエスタもちょっと黙ってっ! 集中できない!」
「ふふふ。こらもう、喧嘩はダメよ。ちゃんと落ち着いてほら一二、一二」
声と共に押し付けられる柔らかな感触から気を逸らすように、士郎は再度空を見上げる。
そこには無限に広がる蒼穹の中を、気持ちよさそうに鳴きながら翔ける鳥の姿があった。
「……いい……天気だな」
拘束するように四方を固められた士郎は、自分を拘束する四人の内二人―――カトレアとジェシカをチラリと見下ろすと、現実逃避するかのように、二人と再会した日のことを思い出し始めた。
騎士となった日から一週間が過ぎ、士郎の周りでは様々なことが起きた。
騎士になったからと言って、士郎自身は特に何も変わりはしないが、その分周囲の環境はガラリと変わったのだ。
そう、特に士郎が驚いたのはあの日、王宮から魔法学院に戻って来て時のこと……。
あの日、王宮で叙勲式を受けた後、疲れを癒すため一日ぐらい泊まってとのアンリエッタの誘いを丁寧に断ると、士郎たちは直ぐに学院に戻ることにした。
もちろんこれ以上学院に先に帰らせたロングビルたちの機嫌を損ねないためだ。
これ以上キュルケたちの機嫌を損ねる前に帰ろうといそいそと学院行きの龍籠に士郎たちが乗り込み、士郎たちは一路魔法学院へ。
途中送迎役として龍籠の同乗したアニエスより、『シュヴァリエ』の称号である銀色の五芒星が刻まれた真っ赤なマントを受け取った士郎は、一時間ほどの飛行でトリステイン魔法学院に辿り着いた。
龍籠はアウストリの広場に降り立ち、士郎たちは龍籠から下りた。すると、それを待ち受けていたかのように、キュルケとロングビルを筆頭に何十人もの生徒たちが駆け寄ってきた。
集まった生徒たちは、見覚えのない者たちが多く、何時の間にか隣にいたギ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ