第四章
無情にも材木座義輝の前に比企谷八幡は訪れない。
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だな。
しかし、こんな現実今まで無かったぞ……。
じゃあなんだこれ。世界のバグ?
とにかく、バクだろうと糞だろうともう諦めた。
僕は多少イラつきながらも、最後に告げた。もしかしたら最期かも知れないけれど、落ち着いた声音で、半笑いにくだらない冗談を吐かした……。
「電流とか……流すなよ?」
「………」
…………。
「………」
…………?
「………」
「えっ、無言!?」
驚きに仰け反りつつも(全然仰け反れてないけど)慌てて三人を順々に見やる。
嫌だ。本格的に逃げたくなってきた。いや、これは逃げなくては!
もう手遅れだが、急ピッチで手錠やベルトやらを外しにかかる。……硬い。駄目だ。外せない。
……俺、諦め速すぎる。
「さすがにそんな酷いことしないわ。――ああそれと、忘れてたわ。はい、これを……」
がくりと項垂れようと思ったけど固定されてて動けない色々絶望的な俺に、雪ノ下は一切れの布を手渡してきた。
何だろう。膝の上に置かれたそれを見つめてみる。
目隠しにしては長いし、太陽の光に晒され、僅かに透けている。何かしら文字が記されているわけでもなし。
皆目検討も付かない代物であったが、この状況に限り、俺の優秀な頭脳は常識的には大きく間違っているであろう正解を叩き出した。
「これは……まさかとは思うけど、違うよね?」
「……?何と思ったかは聞かないわ。――それを口に……ああ、手錠を掛けてあったわね。いいわ。私が巻いてあげる」
「…………………むぐっ」
やっぱ轡もあるじゃねえか!もうやめてくれぇっ!
身動きが取れぬままひたすらに暴れようと呻くけれども、その労力は無意味だった。
「……んー……んー……(やめろ。これ人権の侵害だ!身体の自由を奪った!おい目隠し着けるな!)」
暗い!何も見えない!未来も見えない!
お先真っ暗とはこのことである。
「んーぐっ――(由比ヶ浜さん助けてよぉっ!)」
「桐山くん。もうちょっとの我慢だから!」
その純粋さは間違っていると思った。
全てドッキリでしたと言ってくれ。ドッキリしたから。心臓停まりそうだったから。
だからお願いだ雪ノ下……タスケ――。
――バリィッ。
『この大嘘憑きめぇっ!』
今『バリィッ。』っていった!なにその音エグい!目隠しをされて視界を奪われているためハッキリとそれが何かは分からないにしろ何かしら、電気を流すもの特有の音がした!
そしてそれはきっと黒くて長方形の形をした護身などの目的で利用される携帯可能な小型兵器。
――その総称はそう、『スタンガン。』!
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