第四章
無情にも材木座義輝の前に比企谷八幡は訪れない。
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嘘だと言ってくれ、ハニー。
しかし、無情にも彼女は首を振った。
比企谷の方にも視線を投げ掛けてみたが、目を逸らされた。
果たして彼は何から目を逸らしたのか。俺を救えない不甲斐なさか、それともこれから起こりうる惨劇に目を瞑る為か……。やめろ。シャレにならない。
最後の希望は由比ヶ浜結衣だ。
俺は最上級の助けてほしいサインを送る。
しかし期待とは裏腹に彼女は悲しげに俯くのだった。……おい諦めてんじゃねえよ。
無情だ。非情だ。非道だ。お前ら外道だろ。
「馬鹿ヤロウ!散髪ごときでこんな椅――ングッ!」
「つべこべ言わずに座りなさい」
あの、手、柔らかいですね……。
まあ、それでもそんな柔らかい手で会話はおろか呼吸をも阻害するのはどうかと思いますが。
そうしてナヨナヨした身体能力ゼロの俺はまんまと拷問椅子に座らされてしまった。
「止めようぜ。こんなの……」
「――ダメ」
俺は引き留めるが、コイツら聞いてくれない。
勢いのままに肘掛けに付け足された手錠を腕に掛けられる。
……ガチャリ。
つーか、手作りかよ。まあ、学校の備品を改造する訳にもいかなかったのだろうけど、
それがお前らにとって何のメリットになるのか。
何がお前らをそんなに奮い立たせるのか。――謎である。
「さすがにベルト五本は要らないと思うんだ……」
「そう……。でも私、何でもできるとはいえ、素人であることにかわりないから、動かれると失敗するかもしれないわ」
「何でもできるのでは無いのですか?」
「完璧な人間はいない……。桐山、もう諦めろ」
「………くそう。傍観者に徹しやがって!」
ガチャン。ガチャンガチャン。
三本のベルトが俺の腹部を締め付ける。
駄目だコイツら。俺を殺す気である。
「なあ、足にはベルトいらないだろ。もう三重にも腹を絞められてるわけだし。既に逃げられないよ?」
「確かに逃げられはしないでしょうけど、足をじたばたされたら手元が狂うわ……」
「いや、そんな振動で手元が狂うヤツに髪を切ることはできない!よって散髪自体を取り止めるのが自然であると反論する!」
ガチャンガチャン。
「話聞けよ!」
ヤメテェッ!脚が動かない!
コイツら外道だよ……。もう手遅れなほどに破綻していやがる。畜生。
俺は、もうほとほと嫌になってきた。
どうかしてんだろ。頭打ったのか。と、問いたくなる。
仕返しだとかは考えたくもない。理不尽すぎる。
「なあ、まだ間に合う。最初から今一度考え直さないか?ゼッタイに動かないからさ」
「そう。ならそうして――ただし、この椅子の上で」
「ああ、駄目。この人ら俺の言葉が通じない」
僕は悲しいよ。
ああもうメンドクサイ。糞みてえなイベント
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