第四章
無情にも材木座義輝の前に比企谷八幡は訪れない。
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と?……擬音が間違ってる気がする。そうだ!これはドロリ!
それも違うだろ。と、自分にツッコミを入れたところで、あながち間違いでもないと気づく。
斯くして比企谷八幡はまたしてもノラリとやって来た。
「………ッス」
「あ、おはようヒッキー!」
「お、おう………」
そなたキョドり過ぎでござる……。目も当てられないのでござる。
「今日も元気。おはよう比企谷 八……面くん!」
俺は笑顔で比企谷に挨拶した。
それにしても気だるそうだ。今日は寝坊でもしたか?
俺は虚沌と首を傾げてみる。
「…………ハァ」
奴がうざったそうに溜め息を吐いたかと思うと、ふとこちらに向き直り、言った。
「桐山。俺の名前は八幡だ!比企谷八幡!……だから昭和60年代に大ヒットした某兄弟が姫を助けに行くゲームで、やたら火の玉を吐いてくる、一見カメっぽいボスが出てくるステージ名みたいに言うな!八面って何だよ!いや、何でだよ!」
「ごめん、噛んだ……」
俺は心中を吐露する。
比企谷は俺の反応を見るなり嫌そうな顔をして、眉間にシワを寄せる。
「……いいや、わざとだ!」
思えばここまで長かった……。
俺は手を横に広げ、クルリとその場で一回転した。
自分の長い前髪がフワリと風に靡く……。
そして意を決して――っ!
「ハニカミました!エヘッ★」
「『「 気持ち悪過ぎる――っ!!!」』」
オエオエと奇妙な擬音で悶えながら、彼と彼女らは叫んだ。
……ん?彼女、ら ……?
「おお、ちょうど来たのかな。おはよう、雪ノシシさん」
「……もしかして私のこと、バカにしているのかしら?」
どうやら朝からゴキゲン斜めなようで、何よりです。
雪ノ下雪乃は怖いくらいバレバレの作り上げられた微笑みをうかべ、仁王立ちしていた。
……毎度の事ながら迫力が半端じゃない。
――だからコイツは『覇気』纏っちゃってるじゃねえかよ。
戯言だと真面目に分かっているが、登場する世界観が間違っていると思います……。
「おはよーユキノン」
「………ごきげんよう、由比ヶ浜さん。……呼び方……ヨビカタ……」
心なしか可愛らしい物同士のやんわりとした。端的に言えば百合百合な朝の挨拶だっただろうに、何故か二回目の「呼び方……」の言い方が怖かった気がする。
いや、気のせいだろう。ゼッタイに気のせいだ。
決して『ヨビカタ……』などどホラーじみたカタカナ表記ではなかったはずだ。ましてや俺に向けた呪いの言葉でもないだろう。よく思い返せばさっきの台詞、『ごきげんよう、桐山くん愛してる♪』だった気がする。いやそれは流石に無理がある捏造だけど。
――でなければ次のシーンまでに俺が殺さ
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