第四章
無情にも材木座義輝の前に比企谷八幡は訪れない。
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…真剣に勉強はしておいた方が良いぞ、桐山。お前が違う自分の価値観に気付き、別の人生を歩もうと思ったとき、学歴と学力は必要だ。今は価値なんかないと思うだろうが、変わったときのために、備えは必要だ」
先生の迫力に負け、俺はつい、「……っ、はい!」と返事をしてしまった。
残念だが俺が努力をしていたのは将来のためと言うより、目先の誰かのためである。だから実際、快く了解することは正直できない。
しかし、言われたのなら、それを相手が覚えているうちは、こなすしかない。
非常に面倒だが、先生は仮にも教師である。従わぬは――何だろう。何でもないではないか。
どうすればいいのか、中途半端な俺には分からなかった。
どうしたかわかったところで何でもなかった。
× × ×
一番に部室へやって来たのは意外にも由比ヶ浜結衣であった。
彼女が照れながら言うには、時間を間違えていたらしい。部屋の時計が壊れていたのか、逆に早く来てしまったという。
『……「きりや、くん」あたし、ね?「きりやくん」のこと……』
「どうかした?もしかして、暑い?顔も紅潮してるし、場所、変えよっか……?」
『あ、う、ううん!いいの。あなたのことが好きってただそ――』
「…………何?」
「……」
彼女が俺の持っていたvitaを取り上げた。
何やら不満気……。どうかしたのだろうか?
俺は黙って首を傾げて、自分には否がないことをアピールする。
彼女ハ、勢イヲヨク、僕ニ言葉ヲ畳ミ掛ケタ。
「だって桐山くんあたし来てから全然しゃべんないんだもん。挙げ句ゲームに独り言とか始めちゃうし……」
それはそれは……単純に、悪い。
確かにほったらかしにした感があるよね。普段の俺の扱いよりは良いけれど。
「……何かゴメン。じゃあゲーム返してくれる?鞄にしまうから」
「う、うん……。ってゆーか、きりゃりゃみゃ君はさあ……!」
「……くっwww」
この子、盛大に噛みよった(笑)
俯いて赤くなる由比ヶ浜さんを見ながら思う。
なにこのかわいい生き物。優しく抱きしめてしまいたい。
……ゴホン。いやぁ、それにしても噛みましたって言ったらアレしかないよね。
「いや、それはそれでとてもかわいい名前で……っていうか言い方が可愛くて、二十四時間三百六十五日、つまりは四六時中そう呼ばれたいまであって、その為に『きりゃりゃみゃ きりみゃ』に改名してしまいたいくらいなんだが、残念なことに一般的な日本人として名前を間違われると言うことは、例え舌を噛んでしまったというような不可抗力だとしても快く思わないのが常であって、まあ常識なんていう型にはまったような実に不本意な結果となってしまうんだが、しかし由比ヶ浜さん。僕の
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