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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百五十八話 これは戦争だ
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ですが入手先は地球だと判明しました。地球が購入している形跡は有りません。おそらくは地球そのものがサイオキシン麻薬の製造を行っているものと思います」
「……」
今の地球は何の産業も無い星だ。あそこに行くのは巡礼者と物好きな観光客くらいのものだろう。サイオキシン麻薬の製造など容易い事だったに違いない。

「残念ですが押収した資料の中に地球とフェザーンの関係を示すものは有りませんでした」
「……」
「やはりゴドウィン大主教が自殺したのが痛かったと思います。彼が生きていれば情報が得られたはずですが」

「他の人間からは情報は得られなかったのですか」
「残念ですが……」
アンスバッハの表情が苦みを帯びている。最も肝心な部分が聞き出せなかった、そう思っているのだろう。実際、原作でも情報はゴドウィンからの自白だった。

「仕方ないですね、それについては地球で入手出来る事を期待しましょう。ワーレン提督は明日地球に向けて出発しますがそちらの用意は出来ていますか」
アンスバッハが頷いた。
「地球への同行者は既に選出済みです。地球に於いて情報収集を行う者二十名、それと艦隊司令部の護衛に十名、計三十名が同行します」
「……」

大丈夫かな、まあ大丈夫だろう。
「反乱軍、いや自由惑星同盟ですがそちらに送る資料についてはフェルナー准将が今纏めています。明日には閣下にお渡し出来るでしょう」
「分かりました」
同盟がどう動くか……。あちらは帝国よりも信教の自由について煩いからな。或いは混乱するかもしれん。あとはワーレン達が何を見つけてくるかだな……。

「閣下、憲兵隊、広域捜査局は協力して国家の要人の警護を行っていますがこれには本人の自覚が何よりも必要です。充分に注意してください」
「……分かりました、注意します」
アンスバッハは俺をじっと見てから頷いた。心外だな、俺は余程に思慮分別の無い若造だと思われているらしい。一応女房持ちなんだ、自覚という言葉の意味ぐらいは分かるぞ。

何か分かったらまた報告に来ると言ってアンスバッハが帰ると入れ替わりにワーレンがやってきた。明日は出撃だからな、挨拶にでも来たのだろう。
「閣下、明日出撃しますので御挨拶に伺いました」
「御苦労ですね、急な事で大変かと思いますが宜しくお願いします」
「はっ」

予想通りなのは良いんだがそんな硬くならないでくれ。俺達は巡察部隊以来の仲じゃないか、そう言いたいんだけどな。ワーレンはあの当時の話しをあまり周囲にはしていないらしい。まあ艦の操作なんてまるで分からなかったからワーレンにおんぶに抱っこだった。俺の名誉にはならないと控えているのかもしれん。或いはあの事件の所為かな、宮中が絡んでいるから口を噤んでいるのか。もう気にしなくて良いんだけど、律儀だからな……。

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