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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
そして、英雄達は戦う
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肢はとっくの昔に音を上げて、激しい残業の対価を要求している。

だが、意思だけは音を上げてはならない。それだけは絶対に、何があっても。

ゆっくりと身体を起こしたレンの視界を、見上げるような巨大な木々が塞ぐ。

そういえば森に落っこちたんだっけ、と他人事のようにレンは思う。

索敵をしようにも、これだけ集中力が削がれた状態では《超感覚》も上手く働かない。

まいったな、とレンが立ち上がったときに、背後からガサリ!という音。

なかば本能で、全力でレンは地面を蹴った。足元にあった木の葉が舞い散り、それが────



全て分断された。



「…………………ッッッ!!!」

右手が掻き消えるように振るわれ、背後から奇襲しようとしていた者の命を刈り取らんと鋼糸(ワイヤー)が展開される。

それとほとんどタイムラグなどなく、腐葉土の柔らかい地面に轟音とともに刻み込まれる深々とした傷跡。だが、手応えは全くない。

舌打ちとともに左腕も振ろうとしたが、その間にも九時の方向から目にも留まらぬ速さで人影が現れた。やむなくそちらに標的を変更し、左手を振るう。

ギャリアァァァァアンンンッッ!!!

交錯する刹那に、闇の中に飛び散る火花。それに照らし出されて、互いの顔がはっきりと解かる。

照らし出されるはやけに無表情な、能面のような中性的な顔。

「はっ!!さすがは《瞬神》サマだねェッ!」

ザガギギギャッッ!!と宙空で数百とも言える手数を交錯させる。

闇が引き裂かれ、辺りを真昼のように照らし出す。そして、その中でこちらに飛び上がってくる影。

《宵闇の軍神》リョロウ。

「させないよ、レン君ッッ!!」

普段の彼からは想像もできないほどの鋭い言葉とともに、手の中に握り締めていた(げき)を一度頭の上で一回転させてから、横薙ぎに振るってくる。

咄嗟に過剰光を身体の前に集めるが、そのスピードは普段から見ても明らかに遅い。更に言えば、その輝きも通常のそれから見ても弱々しく、時々頼りなく明滅している。

───ま……ずいッッ!間に合わな………ッ

直後、森中どころか辺り一帯に響き渡るほどの轟音が轟いた。
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