暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
そして、英雄達は戦う
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閃光が宙を幾千と流れ、投擲されたクナイは全て
弾
(
・
)
か
(
・
)
れ
(
・
)
た
(
・
)
。
「………………?」
おかしい、とカグラは胸中で思う。
今の一撃は間違いなくあの鉄の塊を寸断させるほどの威力だった。しかし、実際にはただ弾かれただけ。なぜ?
その答えは、カグラの人並み外れた動体視力によってもたらされた。
弾かれたクナイが力なく地上へと落下していく。その刀身には、それ自体が発光しているのかと思えるほどに、強い青緑色に発光していた。
「心意ですか。なるほど、さすがは《六王》第一席の右腕を任されているだけはありますね」
静かに一人ごちるように言うカグラ。
その声に、初めて感情という名のものが混じる。
それは、興奮という名の。
「行くッスよ!!」
ウィルは無言で勢いよく両手を前で合わせた。それだけで、パァン!という軽い爆竹のような音が辺りに響き渡る。
ウィルがその両手をゆっくり広げると、まるで安っぽい手品のようにそこに幾つものクナイが糸にぶら下がっているように現れる。それらはウィルが手を当てていないのに、空中に静止した。
そのうちの一本を手に取り、ウィルは高らかに叫ぶ。
「
速事風如
(
はやきことかぜのごとき
)
ッッ!!!」
途端、ウィルの手の中にあるクナイの刀身が強烈な緑の光を帯びた。
あまりの光にカグラは思わず目を細める。
「
辺風嵐如
(
あたりのかぜはあらしのごとく
)
ッ!」
同時に、ウィルを中心に身体がふらつくほどの突風が吹き荒れた。風速にすると、約五十メートルはあろうか。宙で静止しているカグラの身体が、堪らえきれずに体勢がぐらりと崩れた。
その隙を逃さずに、ウィルは鋭い呼気とともに二つのクナイを投げた。その速度は先刻のそれと桁が違う。
まるで空気の抵抗など受けていないように、瞬きする間もなくカグラに肉薄する。
───ま……ずっ!この速度は!!?
辺りに、閃光が撒き散らされた。
レンとリョロウ、セイが鍔迫り合いをしつつ落下したのは、アルン高原の所々にある森林のど真ん中だった。
がさがさっ!と派手な音を立てながら、しかし柔らかく降り積もった腐葉土のおかげで心配するほどのHPの減少をせずに、レンは不時着した。
普段のレンだったなら、たとえALOの高度限界から落下したとしても、音もなく着地ができるが、今は事情が違う。
先程から頭の芯にこびり付いて離れない、きりきりと絞り上げるような鈍痛。痛みは集中力の低下を促し、集中力の低下は
肉体
(
パフォーマンス
)
にも
技術
(
テクニカル
)
にも影響を及ぼす。
───痛ッッ。やっぱカッコつけてあんな大技出さなきゃよかったな。
体が重い。
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