暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
そして、英雄達は戦う
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える。

ザガガギギギギギッギギギギギッッッッ!!!

血の色のような閃光が空中で弾けて、それがみるみる地上へと向かっていく。人外の大激突の余波が、空間さえも浸食している。

ビリビリ、と空中で静止したままのカグラとウィルのところにも地震の揺れのような物が仮想の空気を通じて伝わってくる。

数瞬後、睨みあう両者の右斜め前辺りの地面が爆ぜたように土埃を上げ、一人の神と二人の英雄の着地を二人に伝えた。

しかしカグラとウィルは、その轟音を耳にしても眉一つピクリとも動かさなかった。ただただ、互いの瞳を真正面から睨み付け合う。

──────と

「ッッ!!」

ウィルが突如として右手を閃かせた。

攻撃のためではない。自らの身を守るために。

ガギャアアァァァンッッ!!と特大の紅の火花が両者の間で花火のように弾ける。それを苛立たしげに振り払い、ウィルはその向こうを透かし見る。

その向こうに黙って佇むカグラの右手は、いつの間にか左腰にある一.五メートルほどもある黒漆の大太刀、固有銘《冬桜(とうおう)》の柄に添えられていた。

パキリ、と言う音がウィルの手の中で響く。ちらりと視線を落とすと、手の中にある己の得物がすっぱりと重力に従って落下するところだった。

チッ!と鋭く舌打ちする。

「…………それが、あなたの武器ですか」

カグラが静かに言う。

「………………………………」

ウィルはそれに答えない。しかし、腰に一見乱暴に巻きつけられているベルトに幾重にも差してある()()を抜き出した。

その材質は、三十センチほどの無骨な鉄の塊だ。

先端は歪な立体のダイヤのような形になっていて、一点が出張っていて鋭く尖っている。

その対角線上の頂点には、同じ材質の金属の棒がくっついており、そこには包帯のように白い布が乱雑に巻かれている。その棒の先には、ドーナツ状に真ん中に穴が開いた輪が付いている。

日本の歴史の裏で暗躍したもう一つの主人公、忍者と呼ばれた者達が好んで使用した暗殺用投擲武具。

クナイ。

かなり特殊な武器だが今はなきあの鋼鉄の魔城、SAOでは珍しいがそれほど特殊と言うわけでもなかった。

クナイというとかなりユニークに聞こえるが、カテゴリ的にはただの投擲ができる短剣である。

「クナイなどで、私の斬撃を弾けるとでも?」

答えは、閃光のごとき速さで投擲されてきたクナイだった。その数は十。

カグラは心底つまらなそうな顔をし、残念です、とひっそりと呟いた。そして、おもむろに右手を柄に添える。

「《閃火(せんか)》」

ごうっ!!と灼熱のごとき過剰光(オーバーレイ)が鞘に収められた状態の刀身から溢れ出す。

次の瞬間、緋色の
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