第六話
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「まあ……ほとんど正解ですかね」
目の前で落ち込む少年をしり目に、映姫はそう言った。
「ほとんど?」
「はい。小町」
「了解!」
小町は元気よく返事をすると、座り込んだままの俊司の目の前に立ち話し始めた。
「俊司、あんたは自分の能力を自分自身がコントロールして使うことができないんだったな?」
「はい」
「それはどう考えてもおかしいんだよね。ましてや、自分が死ぬ時だけ回避できて、それ以外の『危機と呼べるもの』は回避できないなんてさ」
自分自身でコントロールできないのはおかしい。小町に言われる以前にも、紫や霊夢に似たようなことを言われていた。幻想郷にいる能力を持った住人達は、そのほとんどが能力を自分でコントロールして扱うことができる。
これまで俊司の能力は、革命軍達が現れてしまったためできてしまった『異例の能力』だという認識が強かった。だが、小町はそれはおかしいと言い張っている。
訳が分からない俊司だったが、それに補足するように小町は話を続けた。
「あんたは幻想郷に来てまだ日が浅い。戦闘能力にかんしては、ある程度賄えてるけど……あんたの能力はまだ賄いきっていないんじゃないかって思うんだよ」
「……はあ」
「昔ね、私の同僚に同じような死神がいたのさ。立派な能力を持っているのに自分自身で扱ったことがないって言う死神がね」
「えっ!」
「しかもその能力を扱えたら、死神としてすごく役に立つっていうのにさ、すごくもったいないってあたい達の中ではよく話題になったさ」
「……それで?」
「ところがどっこい。何年かした後そいつはその能力を制御できるようになってたのさ。別にあたい達が特別な訓練をしてあげたわけじゃあない。そいつ自身がなにか特訓でもしたのか、変わったかのどちらかなんだよ」
「ということは……」
「あんたの能力も、まだ用済みになったとは言い切れないってことさ。いずれ、本当の能力……本当に自分がやるべきことがわかるはずだよ」
そう言って小町は笑った。
つまり、俊司の能力にはまだ可能性が秘められていると、小町は言ってるのだ。元々外来人だった俊司が、幻想郷にきた瞬間に能力を扱いきれなくてもおかしくはない。
もしかしたら、その可能性が新しい自分を生み出してくれるかもしれない。さっきまで落ち込んでいた俊司は、そう考えて気持ちを前向きに変えていった。
「この事実を伝えるために……幽香さんに俺を攻撃させたんですか?」
「そうですね。口答でもいいかとは思いましたが、やはり身で感じたほうが実感があるかと思いまして」
「……」
できれば口答にしてほしかったと、俊司は心の中で突っ込みを入れた。
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