第二十一話 覚醒の交響曲
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「人の命はそんな軽いものじゃない!!」
ミゲルの死んだ瞬間が、ニコルが斬られた瞬間が、デイルが撃たれた瞬間が思い返す。
『なら僕は……』
「そうやって、言い訳ばかりかざして、他人を見下して……そんなことを言い張るって言うなら俺が」
『君を』
「お前を」
「『討つ!!』」
二人が同時に覚醒する。セイバーがフリーダムのシールドを蹴り飛ばす。フリーダムはそれにも構わず二本のサーベルで切りかかり、ビームライフルを断った。セイバーはMA形態に変形し、一気に距離を引き離す。幾らフリーダムでもMAのセイバーに直線軌道では追いつけない。
引き離したセイバーはMSに変形し、フリーダムと同時に収束ビーム砲を構え放つ。どちらも直撃は受けないが互いに掠める程度に攻撃が当たる。
『うっ!?』
「ぐうッ!?」
状況は五分、しかし核動力のフリーダムとバッテリーのセイバーではセイバーの方が分が悪い。このままでは遠からずエネルギー切れでセイバーが敗北することは確実といえる。
だが、キラはアスランとの戦いに意識を向けすぎた。カガリへと向かう攻撃はバルトフェルドが抑えている。事実、砂漠の虎と呼ばれる彼は、キラだけでなくアスランや大戦を知るザフト兵、連合兵の多くがその実力を認める程のエースだ。だからこそキラはカガリの護衛を彼に任せた。しかし、自分達を含めたSEED覚醒者はそういったレベルの常識を覆すのだ。
『言ったよな!アンタが俺達を討つって言うなら、今度は俺達がお前を討つって!!』
バルトフェルドの乗るムラサメを撃退し、ブラストインパルスのケルベロス収束ビーム砲がチャージを完了する。カガリの乗るストライクルージュに向け、それを放った。それに気付き、行動できたのは同じSEED覚醒者の二人―――フリーダムはセイバーに背を向けすぐさまカガリを守ろうとする。
そして、それを見たアスランは一瞬迷ってしまった。
(俺は今、何を……何てことを考えたんだ!?キラとカガリに対して―――)
撃つか、撃たざるべきか―――守るのか、守らないのかを。その躊躇いが一瞬彼の動きを止める。背中を向けたあの瞬間、思わずアスランはビームライフルを構え、撃とうとした。カガリがシンに撃たれると分かった瞬間、自らが愛した人だったにも関わらず、守るべきなのかを悩んだ。
結果的にはフリーダムは間に合い、シンの放った砲撃を防ぐ。そのことにアスランは安堵を覚える。死んで欲しいわけではない。寧ろ親友と愛した人だからこそ生きていて欲しいと思う。だが、それと同時にこの戦いへと介入したことに苛立ちを感じ、それが躊躇いを生むことになった。
(俺達は分かり合えてたはずなのに……如何してこうなったんだ)
唇を噛みながらも、分かり合えないことに苛立ち
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