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ファイアーエムブレム〜ユグドラル動乱時代に転生〜【外伝】
とある騎士の昔語り---その4---
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置に再度、巨熊の腕が振り下ろされたからだ。
 恐るべき生命力を発揮し続ける巨熊は長剣を噛み折ろうとさえしていたが、やがてその動きを停めた……
 
 大きく息を吐き出した彼は、先ほど去来(フラッシュバック)した出来事の続きを思い出していた。





 ……


「いいかい、気持ちは嬉しいがお嬢ちゃん。 安心して任せてくんな」
「でも……わたしも……」
「……世界は広いよな?」

 突然の話題の転換に面喰った彼女はなんとも言えない表情を浮かべたが、構わず言葉が続いた。

「だが、その中でもグランベルは一番強い国って言われていてな……遊歴の騎士って知ってるかい?
まぁ、腕に覚えのある騎士が世界中旅して強敵を見つけてさらに腕を上げるってもんなんだが」
「……はじめて伺いました」
「オレがアグスティに居たころにはそんな遊歴の騎士の腕試しの相手を何度も務めたことがあったんだけどよ、    だーーれもオレに(かな)うヤツは居なかったんだぜ?  もちろんグランベルから腕試しに来たヤツだってたっくさん居たんだがな!」

 自身を鼓舞する意味もあり、自信たっぷりに、そして破顔したヴォルツは、ある言葉を口にした。



 ……

 討伐に参加した兵も村人も、皆、歓喜に沸いていた。
 涙を浮かべたり笑ったり、その両方を同時に行っていたり……
 討伐に参加した村人の一人が 歩み寄り口を開き、

「危ないかと思ってハラハラしたけど、騎士さま、あんた凄いよ」 
 
 彼の肩をバンバンと叩き、顔を涙と笑顔と汗でぐしゃぐしゃにしていた。
 その時、(ヴォルツ)少女(ドロテ)に告げたのと同じことを口にした。



「オレをやれるヤツはいねぇよ、この世界ひろしといえどもな・・・」




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