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真鉄のその艦、日の本に
第九話  叛乱への反旗
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り早く配置された小脳が指令を出して動くことで反射能力の向上が測られ、同時に組み込まれたパターンも各分野の達人のものであり、訓練なしに達人と同じ動きができるようになる。
しかしこれには短所があり、逆にいくら訓練しようとインプットされたパターン以外の動きはできない。いや、これは普通なら短所とは言えないもので、その時々でアウトプットするパターンの組み合わせをいじるだけで動きにはそれなりにバリエーションは出るし、それなりにバリエーションがあれば対策など練れないほどの動きの良さなのだ。
しかし、今回は相手も普通ではなかった。
古本にとっては、たったそれだけの事で簡単な動きにそれが見えていたのである。


「コ・ブレーン方式の連中って事は、中共にはこの動きのオリジナルを提供した奴が居るって事だが…今回は来てねぇのかぁ?そいつとならそれなりに楽しめるはずなのになぁ。」


突然にして目の前にできた負傷者死者の山に対して、応急処置及び救急搬送に駆け回る近衛師団を意にも介さず、古本は実に呑気な口調で言う。
圧倒的な実力。これが東機関のNo.3である。


「…………」


しかし、その古本の影に隠れるようにしていた徳富は、通りの向こうを、じっと見つめていた。幼い顔を精一杯引き締めたような表情をして、粉塵が少し舞っている通りの向こう側を睨む。


「……いえ、来てますよ。その、オリジナルの方が」
「うん?」


古本も、徳富の見ている方向を、メガネを右手でくい、と引き上げながらレンズの奥の目を凝らす。そこには人が立っていた。一人の男が立っていた。


「あっ」


古本は何かに気づいたように声を上げる。


「あぁ〜〜」


古本が何ともしんみりした、先ほどまでの飄々とした雰囲気とはまた打って変わった顔を作り、足下に置いた対物ライフルを拾い上げるのと、その彼方の人影がそこから消えたのが同時だった。

ダンッ!ダンッ!

二発続けて、古本は対物ライフルを放つ。先ほど人影が見えていた地点より、だいぶ古本らに近い地点で、ガチン!!と金属がぶつかり合う高く耳触りな音がした。
徹甲弾は、音が響いたその場所で、砕け散っていた。地に落ちた徹甲弾の破片の傍には、キラリと光る刃、日本刀を持つ男が立っている。その男は、先ほど遠くに見えていた人影、まさにその人である。濃紺のスリーピースのスーツを着込み、その腰には洋服とは全く不釣り合いな日本刀、90cm以上の大太刀の鞘を佩いている。90cmの大太刀を腰に佩けるくらいには背が高く、古本と違ってガッチリとした体格をしている。何も言わないその顔は唇がキッと結ばれ、今時珍しい顎のよく発達した輪郭をしていた。そして一瞬にして、相当な距離を移動した。徹甲弾が砕け散ったのは、やはりこの
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