第2話 はじめてのせんとう及びブラジリアン柔術
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スーパー兄貴サトチー様のおでましよ」
サトチーにいさんが来てくれた!
ぼくはうれしくてうれしくて、ほっとして、涙が出そうになった。本当に怖かったんだ。スライム相手に戦っているサトチーにいさんの姿がじんわり滲む。
良かった。来てくれて本当に良かった。木の棒でスライムをやっつけようとするその姿は、とってもかっこいい。
本当に、本当にかっこいいんだけど……かっこよかったんだけど……あっさりやられてなければ本当にかっこよかったんだけど……。
「ち、ちくしょう。スライムのくせにやるじゃねえか」
やっぱりかっこわるい。
気が付けばサトチーにいさんは、ボロボロで泣きそうになっている。ぼくも泣きそうだよ。
あ、でも蹴ったり殴ったりしてる。棒で殴っている時より、何だかよく戦っている気がする。
あ、スライムが逃げてった。
「み、見たか。見よう見まねブラジリアン柔術の強さを……。スライムにどうやって関節技をかけたのか自分でも分からんが……」
なんかもうボロボロの格好でサトチーにいさんが言う。勝ったから本当ならすごいかっこいいのだけれど、何だかすっきりしない。
「お、親父がこっちに走ってきてるぞ。おーい、親父ー」
サトチーにいさんが言う方を見ると、本当だ。おとうさんがこっちに向かってきてる。
「はぁはぁ、おまえたち大丈夫か」
「おう、親父。俺の初戦闘初勝利だ」
おとうさんは溜息を一つ吐いて、ぼくとサトチーにいさんに魔法をかけてくれる。
「ベホイミっと……一人で、いやお前達二人でも勝手に外に出ないようにするんだぞ、まだまだ外は危険だ。これからは気をつけるんだぞ」
「うん、ごめんなさい」
「へーい。まぁイベント的に無理なんだけどな」
「また、おまえは訳の分からんことを……」
おとうさんが何度目かの大きな息を吐く。
「まぁいい、そろそろ行くぞ」
歩き出したおとうさんの背中に着いて行く。すごい大きくて、なんだかすごい強い背中だ。
きっとさっきのスライムなんかも、おとうさんならすぐにやっつけてしまうんだろうな。すごいなって、うれしくなる。
隣のサトチーにいさんは「ちくしょう……種系統は横取りしてでも食ってやるんだ……俺つえーするんだ……」とか呟いている。
サトチーにいさんの背は、ぼくより少し大きいだけだ。それでもぼくが勝てなかったスライムにボロボロになりながら勝っていた。
きっとぼくよりも強いんだろうな。おとうさんはそれよりも、ずっと、もっと。
さっきおとうさんに一人で外に出ないように言われたけれど、おとうさんみたいになるには、おとうさんが出来ることぐらい出来なくちゃいけないんじゃないかってそう思った。おとうさんと一緒じゃあき
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