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真鉄のその艦、日の本に
第七話 蜂起
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営倉から出てくる本木の姿を、通路の影から覗いている人影があった。
細身で、目鼻立ちの整った男。
中野である。

「…今のうちに、休んどいてね、みなさん」

誰にも聞き取れないような声でつぶやき、営倉のドアの前に忍び寄って、背負っていたリュックの中身に手を伸ばした。




――――――――――――

帝都東京の某所に、東機関の本拠地はある。千代田区の警察庁、新宿の中央司令部とはまた別の場所で、具体的なありかを知っている者は一握りである。そもそも東機関は、軍や政府関係者の間でも都市伝説として語られる事が多い。そもそも存在してるものとされない、しかしその存在は随所にちらつく、亡霊のような組織だ。

その本拠地は地下に、厳重に作られている。国の裏側、国の影、暗部が集まる吹き溜まりである。

今現在、東機関の中枢となっている部屋に、上戸は居た。
薄暗い部屋に、大きなスクリーンの光が眩しい。そのスクリーンに映し出されているのは、日本列島とその周辺海域。そして皇軍をはじめとした、周辺各軍の展開の模様である。
帝国三軍の元締めである中央司令部と同じレベルの情報が集まっていた。


「建御雷の位置は?」


上戸が言うと、部屋に十数個も設置されているコンソールに向き合うオペレーターの一人が、手元のマウスとキーボードを操作し、それに伴って、大きなスクリーンの日本地図の一部分が四角く切り取られ、ズームアップされる。


「北緯○○°、東経○○○°です。現在の所、呉への帰投進路をとってます。噴進弾一発を被弾したようですが、今の所航行に支障はきたしていない模様です。」
「"海坊主"からの連絡は?」
「は、一時間前に。計画の進行は順調、とのことです」


上戸はスクリーンに映し出される建御雷のマーカーを見て、納得したように頷く。


「反政府ゲリラの動向は?」
「動いてます。激しく。」


先ほどとは別のオペレーターが、コンソールを操作する。大型スクリーンの列島地図の端がまた四角に切り取られ、そこには、テレビのニュース映像が流れる。ニュースキャスターが早口に、現在の状況を告げている。「戒厳令」の文字も見える。
同時に、列島地図の数カ所が、赤く染まる。
反政府ゲリラの動きを強調して見やすくしたのだ。


「西から、北九州、岡山、大阪、金沢、所沢で、規模の大小の違いはあれど、武装蜂起が確認されています。陸軍を中心とした部隊が鎮圧に当たっていますが、それなりに官民問わず被害は出そうですね。」
「装備は?機動甲冑などの武装は確認されてる?」
「いえ、携行火器が中心で、せいぜい装甲車程度です。陸軍機甲部隊並の重火器は確認されておりません。」
「じゃ、良いわね、ほ
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