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真鉄のその艦、日の本に
第七話 蜂起
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るようになったら、人としておしまいっす」
「非常時の軍人に"人間性"なんて要らんのんだって」


津村はさらにむくれた顔をした。遠沢は表情を変えず黙って聞いている。


「そんなの言いながら、副長も艦長に逆らったやないですか。艦長だったら艦と乗員を守れって。何でここまでされて平気なんだって。俺、あれたまたま通信入ってて聞こえたんですけど、結構感動しましたよ。副長だって、仲間が死んで胸が痛んでるやないですか。僕と一緒ですよ。」


長岡はチッと舌打ちした。自分が艦長に何を言ったかはハッキリとは覚えていないが、相当感情に任せた事を言っていた記憶がある。あれを聞かれていたかと思うと、気恥ずかしい。まさか、全艦放送にはつながっていなかっただろうな?


「…あんなの、艦長の言った事が正論なんだ」


長岡はため息をつく。

「軍は軍じゃなく日本を守らんといけんのだ。国民の代わりに死なんといけんのだ。その引き換えにこんな不景気でも高級どりで許されとるんだけん。その金で自分の命を売る、その覚悟無しに職業軍人になんかなっちゃいけん。」

営倉の近くの貯蔵庫の扉が開く音がした。食事の時間はとうに過ぎ、船務科が調理の食材を取りにくる時間ではないのにも関わらず、何度かこの音はしている。負傷者がまた1人死んだのだろう。その死体を冷凍庫に一時保管しておく為の音だった。


「まだ曹士以下はの、自分らの身の回りの事だけ考えとってもええかもせん。大きな事考えずに上からの命令に従う事が何より重要だけんの。そら、自分らの命、仲間の命が一番大事だわ。けど俺は幹部だ。ある程度自分で考えないけん。国費で防大で学ぶ学費を賄われて、育ててもらった分だけ、身の回りの事だけ考えとったらいけんのんだわ。大きな視野でモノ見れんのだったら、頑丈な発令所に篭って命令だけ出しておれる権利はないんだ。撃ち返すことさえも出来ないような日本の状況を分かっておるんだったら、自分や仲間の命を守る為に撃ち返すって事も自重せないけん。そして国の為に死なんといけん」
「でもお前はそれを分かっとっても、身近な連中の死に耐えられん。そうじゃないんか?」


いつの間にか営倉にやってきた本木が、言葉を挟んだ。長岡は、少し驚いたような、そしてうんざりしたような顔を作った。

「ちょっと俺も休憩入っての」


本木は、長岡の入っている牢屋の前にどかっと腰を下ろし、手に持った袋の中身を床に撒いた。飲料の缶が四本、そして乾パンだった。
元木は鉄格子越しに、牢屋の中の三人に一本ずつ缶と、乾パンをよこす。


「…よろしいのですか?」
「良くないじゃろな。まぁ、俺に文句言うのはこいつか艦長くらいじゃけ、ばれなきゃええんよ」


躊躇いがちに受け取った遠沢に対し、本木は
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