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真鉄のその艦、日の本に
第七話 蜂起
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リラは貴様らの手助けを当てにして蜂起するのだろうが」


李が気に入らなさそうに鼻を鳴らした。


「貴様の敵偵処も日本の抗米統一戦線と通じてるのだろうが。張の独断専行もさては貴様、知っていながら放っておいたな?日本に兵を送る事を議題に挙げる為に。そういう敵偵処の隠蔽体質と独断専行気質が…」
「やめないか、李同志」


李の厳しい追及を、周は遮る。
責められている側の孟は、気にしている様子もないが。


「…東海第三艦隊の出撃を防げなかったのは確かに我々の失策でありました。」


メガネを直しながらとぼけている様子の孟に、周はため息をつく。


「…義勇軍と言うが、それにしても多くの戦力は割けんぞ。何か案はあるのかね」
「は。我々敵偵処の秘蔵っ子共を送ります」


孟の表情からは、何らかの自信が垣間見られた。周はもう一度ため息をつく。


「…構わん。君が描いた絵だろう、好きにしたまえ」
「はい、ありがとうございます」


それだけ言うと、不敵に笑う孟と、孟を険悪な目つきで見ている李に背を向けて、周は部屋を出て行った。


――――――――――――――――



「お前ら、若い癖に将来を棒に振りかねんようなマネを平気でしやがって…」


長岡は床に横になりながら、津村と遠沢から営倉入りの顛末を聞いて呆れた顔をしていた。
津村はあぐらをかき、遠沢は正座して自室の鉄格子の前に座り、長岡の方を向いていた。
津村は苦笑いして頭をかく。遠沢はいつもと変わらない。


「でも将来がどうとか言ってられませんでしたって。あそこで中共艦隊にやられたら、将来も何も無いやないですか。」
「そらそうだけどの…」


身分が上の人間に対しても、話を聞くだけでなく意見を主張もしてくる。最近の若い者の特徴だ。昔の軍なら、「黙って話を聞いておれ!」と殴ったのかもしれないが、長岡に津村を一喝する気は起きない。今はお互い、営倉にぶちこまれたしょうもない軍人だ。そもそも説教する権利がない。


「でもの、お前ら航空隊に限っては、この建御雷が噴進弾に沈んでも、そっから逃げりゃ本土に生きて帰れただろ。燃料切れで機は途中で放棄するかもしれんけどの。本土近くの海で浮いてりゃ、助けに来てくれただろ。」
「え?海軍って、仲間を見捨てて生き残れって教えるんですか?僕は友軍を助けろって、仲間の死は自分の死だって教わってきましたけど」
「独断専行してまでそれをしろとは教えんだけじゃい」


津村は口を尖らせて不満げな顔をした。


「まぁ独断専行は悪い事っすけど、でも俺自分がした事悪いとはやっぱ思えないですよ。仲間が殺られて、さらに殺られそうになってて、どうしてそれほっとけますか。それほっとけ
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