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真鉄のその艦、日の本に
第七話 蜂起
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はある意味好機ではないですか?我が国が太平洋を見据えた際に、日本があの位置にあるというのはどう考えても邪魔です。日本などと交渉し、折衷していかねばならない事自体が既に駄目なのです。これほど大規模な軍事的衝突が起きて、日本を攻め落とす大義名分ができ、絶好の好機ではないですか。安易に得られる小さな利よりも、むしろ多少の被害には目を瞑ってあの列島を取りに行くべきです。日本が大量破壊兵器をちらつかせた今なら人民はリスクに関しても納得します。80年前の日中戦争の記憶はまだ人民に残っているのですから。」

「お前は一つ大事な事を忘れているぞ、劉同志。アメリカ太平洋艦隊の存在だ。こちらが全面戦争で列島を取りに行ったとして、わが共和国が自由に太平洋に出れるようになるという状況を【世界の警察】アメリカ様が見過ごすと思うか?日本軍の抵抗に遭うだけでなく、アメリカ太平洋艦隊までもが横あいから殴りつけてくるんだ。下手をするとあの列島をアメリカに持っていかれるかもしれん。そうなれば「厄介な小国日本」がそこにある、という程度の脅威では済まない。我が共和国にとって邪魔な事は邪魔だが、日本がアメリカともギクシャクしているおかげでバランスが取れている面もあるんだぞ。その均衡を崩すリスクは負う必要がない。」

「しかし…」



外交的処理を主張する李と、武力行使を主張する劉のやり取りを、周主席はジッと聞く。
しかし、やはり武力行使するにしてはイマイチ踏み切れない所があるように周は感じた。80年前の同じ状況ならば攻めた。しかし今は、アメリカという大きな世界の重石の中で、慎重に行動せねばならない。今の均衡を崩してしまえば、現状すらも失う可能性がある。この均衡を保ったまま、じりじりと自分達の側にバランスを傾けていくというのが最善のように感じた。


「全面戦争は避けたい、しかし何もせずに置くのは納得できない、そういう事でよろしいですか?」


ここで口を挟んだのは、先ほどの公安部長の孟であった。


「日本が日本としてあの位置に維持したまま、より我々共和国に従順な政権がそこに出来ればよろしいのでしょう?」
「反乱を扇動しようというのか?」


孟が言わんとしている事に、周が先回りした。
孟は頷く。


「ええ。私らが得た情報によると、間も無く日本の反政府ゲリラが蜂起します。現政府を打倒して、より反米色の強い政権を作るつもりです。しかし一方で彼らは、同じ反米的国家に対しては協調の姿勢を見せています。日本の反政府ゲリラの中心は世界抗米統一戦線の日本支部ですので。彼らの蜂起を手助けするという形にするのはどうでしょうか?より少ないリスクで、バランスを大きく損なう事もなく、しかし日本政府の変質により利益は見込めるパターンではないかと…」
「どうせ日本のゲ
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