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真鉄のその艦、日の本に
第五話 蹂躙
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、基地入口に居た山犬の通信兵を殺し、それだけでなくその通信機に細工をしていた。「現在交戦中、任務遂行難航す」建御雷からの通信に、この答えしか返さないようにしたのだ。建御雷が撤収しようとしても、これで死に絶えたはずの山犬を待ち続ける事になる。勿論、不自然さにはさすがに気づくだろうが、全滅の確認をとるその手間をかけさせるだけでもいい。その手間が命取りになるやもしれない、それで十分だ。そして、今は目の前に遠沢が居る。なおさら、撤収できない。敵の機動甲冑を倒してひとまず補給に建御雷に戻るはずだった機甲部隊も、今は二神島の森林で遠沢を捜索している。これらを全て収容しながら、中共艦隊の攻撃を凌ぐのは至難だろう。

「わたしは、上戸局長の命令通り、お前たちを殲滅しにきた。山犬ができないようならわたしがやる。山犬の人たちも助けられれば良かったのだけど…」

遠沢はキッときつい目をつくる。

「その任務は遂行する。犠牲をどれだけ払っても」

和気はヒュウと口笛を吹いた。

「「「それはそれは立派な事だな。殲滅、か。殺す為ならどれだけ殺されてもいい。やはり東機関だな」」」

数人の和気が、遠沢に飛びかかった。
遠沢は、小銃で、飛びかかってくる数人の和気の首筋、皮下装甲が脆い弾丸一発分の弱点を正確に次々と撃ち抜いた。山犬に撃たれとも切られてもビクともしなかった和気が血を噴き出して倒れる。

遠沢と距離をとってその光景を見ている和気達が、ニヤリと笑った。

遠沢のそばで倒れ伏した、飛びかかって撃たれた数人の和気の体が、一斉に爆発する。
その爆発は遠沢を巻き込む。

「!!!」

遠沢の体は爆発にズタズタにされる。体が宙に舞い、叩きつけられる。
それと同時に残りの和気が、吹っ飛んだ遠沢に全力で向かう。
遠沢の体は、右手左足が吹き飛び、破片で腹部が何箇所も裂かれ、顔は咄嗟に目を瞑った姿のまま、煤で黒く汚れていた。そのズタズタの遠沢の体を、和気達は両腕両足を掴んで拘束した。致命傷を負ったはずの遠沢を拘束したのである。

すると、煤で汚れた遠沢の瞼が動き、その目が開く。体の傷は、みるみるうちに塞がっていく。右手が、左足が、再生を始める。

「「「Hソイル原液の効果の一つ、生命力の異常なまでの伸張。自爆して吹っ飛ばしたくらいでは死なず、いくらでも再生できる。細胞一つが生き残ってるだけで全体を再生できるような奴も居たな。」」」

遠沢は掴まれた両手両足を振り払おうと抵抗するが、和気達の拘束から逃れられない。
単純な力は和気の方が強いらしい。それに、和気四体がかりで、小柄な遠沢を取り押さえているのだ。かなうわけがない。

「「「そして、再生に加えて、Hソイルに適応した人間はそれ以外に何か力を持っているはずだが、お前の力を見せてみろ
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