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真鉄のその艦、日の本に
第四話 激突
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前に戦った東機関の兵士のそれと変わりがなかっ た。しかし、上戸はそれよりも更に速い動き、まさに電光石火で、飛びかかる印出を投げ飛ばし馬乗りで押さえつけ、床に這わせて腕を捻じり上げる。

「最 初から貴様に駄々をこねる権利などない!貴様の命は既に日本というこの国家のものだ。国家反逆罪を犯した時点で、貴様の命は貴様のものではなくなった。死 刑か、日本にその命を使われるか、そのどちらかしかない!貴様はクズだ。人の命を奪って金に替えてきたクズだ。守る為でなく欲の為に戦うクズだ。自分でク ズに堕ちておいて、善良で罪なき国民と同じだと思うな。しかし、善良で罪なき国民を守り国を守る為には、そういったクズの方が都合が良い時もある。光あれ ば影あるのは世の常だ。貴様はクズの生き方しかもうできん。捨てられるか、クズなりの役割を果たすか、さあ、どちらか選べ!」

上戸がまくし立て、床に押し付けた印出の頭に、射殺さんばかりの鋭い視線を投げかける。横目で鬼のような、それでいて美しい上戸の形相を見て、印出の顔にはまた、ニヤニヤが戻りつつあった。


はは、ご機嫌だぜ。



―――――――――――――――――――

印出は、血だまりの中に顔を埋めていた。その様子も、遠沢の目にははっきりと見える。最後の最後、ボロボロになってもなお抵抗の意思を失わなかった、猛々しく哀れな戦闘狂の亡骸だ。

「「「ふん、首筋にいくつかある皮下装甲の脆い部分…丁度弾丸一つ分の直径の弱点を正確に撃ち抜いてくるとは、普通の人間の基準で言えば、大したものだな」」」

和気は、遠沢一人が現れたくらいで動じない。
むしろ、それを喜んでいるような様子すら見せている。

「「「しかし、あまり賢くはないなお前。入り口で倒れていた通信兵の通信機を放っておいた。普通報告くらいするだろう。この穴ぐらに入ってくる前に状況くらい確認しておいても良かったはずだ。それをせずにここまでノコノコと。」」」

十数人の和気が、同じ笑みを浮かべて自分を見るその光景に、遠沢は僅かに眉をひそめる。

「「「山犬達もそうだ。たださっさと基地内に爆弾を仕掛けてこの穴ぐらを吹き飛ばして帰れば良かった所を、わざわざ基地の奥底までやってきて、一人残らず確実に殺 す事にこだわった結果がこれだ。俺などわざわざ相手にする必要はなかった。殲滅。東機関の好きな言葉だ。その馬鹿馬鹿しい命令のおかげで、建御雷も、地獄 に落ちる。山犬が、その能力を以てすれば手早くできた事をしなかったおかげで、この近海に中共艦隊が展開する時間ができた。」」」
「中共艦隊?」

表情少なな遠沢の目が、その切れ長の目が、少し見開かれる。

「「「そうだ。この島のすぐそばに、臨戦体制で待機している。何か間違いが起これば、すぐにでも戦闘状態に入
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