暁 〜小説投稿サイト〜
真鉄のその艦、日の本に
第四話 激突
[5/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話



人間離れした美技を見せ続ける印出。しかし、それも長くは続かない。すぐに手持ちの手榴弾が切れる。

「がっ…」

不意に背後から両足を撃ち抜かれ、印出の動きが止まる。そこに、包囲している数人の和気からも銃撃が加えられる。
胴体を中心に血の華が咲く。印出の口から、血がどっと吐き出される。

「ゲボッ」

気管に入った血にむせ返り倒れ伏そうとする印出に、和気達は畳み掛けてくる。一斉に駆け寄り、様々な方向から印出を蹴飛ばした。そしてもんどりうつ印出のその心臓に、とどめとばかりに一人がナイフを深々と突き刺した。

「ぁ"がぁっ…」

健闘虚しくボロボロになった印出の頭を、和気の一人が掴む。

「「「分かったか?俺は決して貴様ら如きの連中に取って代わられたが為に東機関を放逐された訳ではない。もっと複雑な事情によるものだ。能力が評価に結びつかなかっただけだ。そこはしっかりと間違い無いよう覚えて死んでいけ。」」」

印出の頭を掴んでいる和気だけでなく、周囲を取り囲んだ和気全員の口から同じ言葉が発される。体に力を無くし、髪を掴まれて辛うじて顔を上げている状態の印出の顔が、ふと笑った。

「…へぇ…その複雑な事情とやらで…逃げ出して……こんな国賊共と組んじまったってか…」

十人以上の和気の全員の口元がピク、と動く。目が細められ、印出に対する視線が鋭くなる。

「…要するにお前……国に愛されなかったから……だから逆恨みしてんだろ?」

鋭い音が響く。印出の頭を掴んでいる和気が、その横っ面を張った。印出の口の中にたまっていた血が飛び散る。印出は話すのをやめない。

「自己評価と同じくらい…評価されねぇとすまねぇ……愛した分だけ……愛されないとすまねぇ……そして拗ねてこれか……おめぇ、モテねぇタイプだろうなっ!」

印出は、自分の心臓に刺さり、ピクッピクッと拍動に合わせて震えていたナイフを自分で抜き放ち、目の前の和気に振りかざす。その瞬間に、印出の心臓から血が一気に抜け落ち、印出の体は力を失って一瞬のうちに気を失い、ナイフを握ったままで絶命した。

「「「フン」」」

和気はその亡骸を、モノを見るような目で見ながら手放し地面に叩きつけ、そのクシャクシャの頭を思い切り踏みつけた。

「「「!」」」

刹那、銃声が響き渡り、印出の頭を踏みつけた和気が、その首筋から血をプッと吹き出して倒れた。銃撃程度何ともないはずの防御力を持った和気が、一発で倒された。その他の和気達が、地下工場の入り口を振り返る。
そこには、自動小銃を構えた、短い髪、尖った顎、鋭い目つき、シャープな顔立ちの、小柄な女。

「…30名の、皮下防弾装甲処理、機械的身体強化処理を施された複製人間部隊。それら全ての個体を指揮、統括する一
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ