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真鉄のその艦、日の本に
第四話 激突
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などを抜き取って、自分に身につけ、洞窟の中へと再び駆け出した。


―――――――――――――――――――――


怒号と悲鳴、銃声が二神島地下五階のフロアに交錯する。「人でなし」達が、広々とした地下工場のフロアで激突していた。

「う"ぉ"お"お"お"お"お"」

山犬兵士が、「和気」の一人に対して懐に入り込み、マシンガンを至近距離で連射した。数十人もの「和気」の中の一人は、その衝撃にひるむが、しかし、血を噴いて倒れたりはしない。すぐに姿勢を立て直して拳銃で撃ち返してくる。


「「「そろそろ、銃で撃っても無駄だと気づかないか?親愛なる山犬の諸君」」」

数十人の「和気」が、それぞれがそれぞれの山犬兵士の相手をしながら、同じ調子で同じ言葉を話す。山犬部隊の方は、既に半数以下にまで数を減らしていた。

「ぉおおらぁああ!」

一人の山犬兵士が、目の前の和気の心臓にナイフを突き立てた。ナイフは確かに、その体に刺さる。しかし、すぐに硬い感触にその刃を阻まれ、心臓にまでは届かない。

「「「死ね」」」

ナイフを突き立てられた和気が、間髪いれずに、目の前の山犬兵士の腹部に拳銃を突き立て、撃った。山犬兵士は血を吐き、目を見開く。

「…ち…くしょ…」

兵士は、手持ちの手榴弾のピンを外す。そして目の前の和気に覆いかぶさり、自分もろとも一人の和気を吹き飛ばした。

山 犬兵士は自爆戦法でしか、和気を倒す事ができない。動きの速さ、反応速度は山犬部隊の方が和気達よりも上だが、和気の防御力の前に、致命傷を全く与えられ ない。つい先ほどまで、統一戦線基地を蹂躙し、レジスタンス達を嬲り殺してきた獰猛な山犬達が、今度は狩られている。同じ「人でなし」に狩られている。

「くそったれがぁああ」

結局、瞬く間に印出以外の全員がその命を散らしていった。印出一人に、複数の和気が群がる。

しかし、印出はやはり、普通の山犬とは格が少し違った。手榴弾なら効くと見るや、自分の手榴弾を和気の一人に対して投げつけた。

「?」

手榴弾を投げつける、それだけなら、和気ほどの防御力なら、少し手榴弾から飛び退いて距離をとり、至近距離の爆発さえ避ければ致命傷にはならない。しかし、印出は、自分の投げた手榴弾が和気に当たる、0距離のその瞬間にその手榴弾を銃で撃ち抜いた。

爆発。一人の和気が血を噴いて動かなくなる。

「よっしゃぁ!」

その他の「和気」の銃撃を右への横っ飛びでかわしながら、右手からのアンダーハンドスローで二つ目の手榴弾を投げる。左手で間髪入れずに撃つ。命中。爆発。

「まだまだァ!」

今度は背後に迫っていた和気に、ノールックでのバックトスで手榴弾を食らわせた。そして振り向きざまに狙撃。命中。
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