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真鉄のその艦、日の本に
第三話 進撃
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<普通隊長は後ろで見てて指示を出すでしょ。何でわざわざ自分から危ない所に突っ込むんですか?おかしないですか?>
「危ないからこそだ。俺みたいなボチボチ先が見えてきてる奴がお前みたいな若造より早く死なないとな」

敵レーダーの死角は、東機関が集めてきた統一戦線基地のデータを元にして割り出したものだ。東機関のデータがどこまで信用できたものか、森には分かったもの ではない。万が一でも、相手側が奇襲に気づいて対空ミサイルをぶっ放してくる可能性もある。そうなったら、そうそう簡単にミサイルからは逃げ切れない。

能力的には、津村の方が森よりも上である。無い才能を努力に補っている感が否めない森には、天性とも言えるセンスを持ち合わせた津村との差がはっきりと分か る。しかし、ただ能力だけで任務は決められない。はっきり言って危険だ。まだまだ先がある優秀な部下を死地に突っ込ませて、自分は後方で見守るというよう な選択は森にはできなかった。だったら自分がやるしかない。

<死ぬんが怖くて、パイロットはしてませんよ>
「それはただ怖さを実感してないだけだ、死ぬ事のな」
<隊長はしてるんですか?>
「今はしてない方が幸せだ。オラさっさと行くぞ!」

森はそこで通信を切った。計器を何やら操作し操縦桿を握ると機体がわずかに浮いて、大きな口を開けて青空が覗いている発進口のカタパルトへと、その身を預けに行く。

「航空隊、雷電改森機、出ます!」

口元のレシーバーに力強く吹き込むと、機体の下のリニアカタパルトが電気を帯びる。磁気のパチンコは、戦闘機の流線形をパチンコ玉の如くアッと言う間に押し出し、森の乗った雷電改は、大空の真ん中に吐き出された。

「まずは頼むぞ、航空隊」

戦闘指揮所の画面の一つに映る、建御雷艦載機発進口からの勇ましい戦闘機隊発進の様子に、田中は期待を込めてつぶやいた。

――――――――――――――――――

雷電改は、これもまた建御雷の部隊の機に相応しく、最新テクノロジーの集合体のような戦闘攻撃機(マルチロール機)である。
可変式の後退翼、エンジンは熱核ジェットエンジンが二機、尖った機種、見た目はやや大型の戦闘機だろう。
しかし、大きな特徴は、飛空艇の反重力機構を簡易なものにして戦闘機にも導入している所である。水平方向の推力だけでなく、縦軸の揚力も得る事ができるの だ。これは運動性を飛躍的に高め、普通の戦闘機には勿論不可能なはずの動きをも実現している、戦闘機の常識を覆すような機である。アメリカ由来の飛空艇の 理論を発展的に利用した、日本人らしい発明の機だ。
デジタルグラスコクピットに、高度な戦術レーダー、ミサイル搭載量も多く、飛空艇用の艦載機という特殊な設定のものでありながら、現段階で日本最強の戦闘機と言えよ
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