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真鉄のその艦、日の本に
第二話  不穏
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きた。制服は、既にいつも通りの青の繋ぎに着替えられている。「探したんでぇ」と息も荒い長岡に、本木は「艦内放送で呼びだしゃええだろうが」と少し冷たかった。

「任務言われたんじゃろ?どうせまたロクでもないもんじゃろうけどのぅ」
「世界抗米統一戦線の基地を潰せだと。二神島
に基地があるんだと!それもあいつら、俺らだけでそれやれ言うもんだけん、ビビったわいや。」
「あぁ?訓練もしとらんのに戦える訳ないじゃろうが」
「そしたらな、あの禿げた陸軍将校が、建御雷は優秀だけん素人のお前らでも勝てるわいやって、あぁもうホントムカつくけん!俺30年生きてきたけどこんな無茶苦茶言われたのは初めてだわぁ!」

長岡としても、先ほどは言いたい所をこらえつづけていたようである。沸騰せんばかりの長岡の様子と、諦めて遠くを見るような目をしている本木を見て、有田は笑った。

「ははは、確かに白川准将はめちゃくちゃですね」
「知っとんか、有田大尉?」
「は い、叢原火と頽馬を造ったのはあの人ですからね。頽馬の訓練の時も厳しいというか要求がめちゃくちゃなんですよ、遠沢じゃなけりゃ半分もこなせないような 事ばっかり。あの人にとっては人は武器の一部ですからね〜。とっとと武器にお前らが追いつけって感じですからね〜。」

有田は肩をすくめた。

「というか、よく白川准将て分かったな」
「陸軍でもそんな失礼を言うのは、白川准将だけですよ。それが陸軍の全てでは、ありませんからね」

「こんだから陸軍はいけんのんだ」と続けて言うつもりだった長岡の意図を知ってか知らずか、しかし有田はその考えに釘を刺した。

<こちら艦長、本艦幹部は食堂に5分後に集合されたし>

艦内放送が響く。長岡を初めとした場の三人も、格納庫を離れた。叢原火の威容が、その背中を見送っていた。


―――――――――――――――

「何してるの?」

福岡駐屯地の娯楽施設内で、ノートパソコンを広げて、カフェのテラスでカタカタとキーボードを叩く中野に、たまたまそこを通りかかった風呂元が声をかけた。買い物袋満杯である。一体何を買ったのか、女の買い物ほど分からないものは無いが。

「ネットサーフだよ、いつも通りの。航海となりゃ中々外の情報も入ってきやしねぇ。この間に色々見て教養を深めねぇとな。」
「何を言ってんのよ、どうせエロ動画でしょうが」
「うるせーよ」

中野の事を鼻で嗤って、風呂元は大きな買い物袋を抱えたまま、その場を去っていった。
中野は、また自分のパソコンに向き直る。

「…………」

その表情は神妙だ。こんな顔でエロ動画を見る奴は居ない。指は休みなくキーボードを叩き、視線はディスプレイを睨みながら、しばしば周囲を確認している。中野の背中には壁がある。意
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