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真鉄のその艦、日の本に
第一話  接敵
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大型トラックの荷台が、不意に開く。そこから現れたのは、信じられないようなものだった。

―――――――――――――――――――


長岡は深夜に目が覚めた。部屋に備え付けのスピーカーからけたたましい警報音が鳴り響いたからである。最初は何かの間違いかと思った。しかし鳴り止まない。遠くに、人の怒号と爆音が聞こえたりもする。そしてアナウンスが告げる。

<敵襲!敵襲である!これは訓練ではない!これは訓練ではない!!>

長岡の全身が粟立った。


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基地防衛の海軍陸戦隊が物陰に隠れ、撃ちまくる。しかし、次の瞬間、彼らが身を隠していたものごと、吹っ飛ばされた。粉々になった。ズタズタになった。手が、首が、足がバラけて弾ける。

その残骸と、肉塊を跳ね飛ばし、基地の奥深くへと侵攻していくのは、二足で立ち、手も二本。足にはタイヤを装備して、ローラースケートのように移動する未知の人型兵器だった。

両手甲には、37mmもの口径の機銃。滑るように基地内を走り、抵抗する陸戦隊を掃討する。
こんな人型兵器がいくつも与勝基地に流れ込んでいた。

機甲兵器もない、保安要員の陸戦隊では手も足も出ない。相手は明確な攻撃の意思を持った、未知の敵だった。


―――――――――――――――――――――

「おう、来たか」

銃声、悲鳴、怒号が錯綜する中を建御雷のあるドック、そして建御雷のCICまでやってきた長岡。それを、一足早く来ていた本木が出迎える。CIC(戦闘指揮所、発令所)の大型モニターには、基地内の地図と、戦闘の情勢が映し出されていた。どんどん防衛線は破られ、基地の地図が敵制圧を示す赤にどんどん染まっていく。その勢いはかなりのものだ。前線からの報告に基づいたマーキングだが、実際もっと速く侵攻が進んでるのだろう。

「このままじゃここも危ないの。」

渋い顔をする本木をよそに、長岡はヘッドホンとマイクのヘッドセットを装着する。

「出航準備!機関室、早急にエンジンを温めろ。残った弾薬も積めるだけ積んですぐに出航してここを離れる!機関室は準備完了までの時間を五分刻みで報告しろ!」

長岡の声が飛ぶと、CIC用員が慌ただしくそれぞれの部署に指示を飛ばし始める。さながら神経組織のように、中枢から末端へ指示が伝わっていく。

しかし、突然のこの襲撃だ。皆浮足だっている。研修を一年積んだクルーとはいえ、まだ出航もしてない連中が建御雷のクルーだった。冷静に、正確に、迅速に指示が通るはずがない。

意思疎通の難しさに苛立つ部下がマイクの向こうに怒鳴ってる姿を見て、長岡は、ぼんやりと、これで間に合う訳がない、、
そう思った。

「砲雷長。エンジン始動は間に合いそうにない
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