暁 〜小説投稿サイト〜
とある碧空の暴風族(ストームライダー)
族結成
Trick32_私にもA・Tを教えてください!!!
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妻に持ち歩いていた、黒いスポーツバックを渡した。

「お、A・Tか!! 昨日話したのにもうできたのか?」

入っていたのは黒を基調としてデザインされたA・T。
信乃が使っていたものよりも重量感を感じさせるのが、拳を使って戦う
黒妻のパワーのイメージにも合っていた。

そのA・Tを見て、一部のメンバーが羨ましそうな顔をしていた。

「パーツは元々自分用の予備があったのでそれを適当に合わせて作りました。
 一応最終確認をしたいので少し背中を貸してください」

「ん? なにするんだ」

疑問に思いながらも素直に信乃に背中を向けた。

信乃は黒妻の背中に手を置き、目を閉じて意識を集中させる。

「トレ・・・・ン」

誰も聞き取れない小さな声で、魔術の詠唱をする。

「はい、問題なし。音も組み上げたA・Tとずれが無いみたいだし、
 そのまま使っても大丈夫ですよ」

「音? なんか関係があんのか?」

「先日説明した|閃律の道(リィーン・ロード)って覚えていますか?
 あれってA・Tの音に使用者の音を合わせる作業をするんですよ。
 音があっていれば使いやすくなりますし、ずれていれば怪我したりA・Tが
 壊れたりしまうんです。

 本物の音の確認方法は別の方法をとるんですが、その方法は嫌ですし
 代わりにした今の方が成功率が高い自信がありますから安心してください」

信乃にはBLの趣味は一切ない。もし昔の閃律の道(リィーン・ロード)の
方法で調律すれば、男同士が裸で×××な状態になる必要がある。

だが信乃が使ったのは魔術。それも解析魔術だ。
これを使えば自分の皮膚の間隔を通さずに直接相手の音を“解析”して理解できる。

ちなみに宗像のA・Tも信乃が製作・調律をしたものだ。

「そんなんでわかるもんなのか?」

「私が旅の世界で飛び回って手に入れた特技の一つですよ」

正確には世界を回る前に身に付けた魔術なのだが。

「A・Tを使うのに慣れると、個人の癖が出てきてズレも大きくなります。
 定期的にメンテナンスと一緒に調律もしますよ」

「おう、頼むぜ!」

「それじゃ、行きますか。 佐天さんはどうします? 風紀委員じゃないから
 残る必要はないですが」

「あの・・・信乃さんにお願いがあるんですが・・・・・」

佐天が言いにくそうにモジモジとしている。

「なんですか? 私にできることであれば聞きますよ」

「あの・・・・・えっと・・・・」

優しく促してもなかなか言えない。恥ずかしそうに口を動かすだけだ。

それでも信乃は急かさずに笑顔で待った。



一度大きく深呼吸をして、佐天は決心をして言った。

「信乃さん!! 私に
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