第1話 ハム、集られる
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ものか……とは思うが、太守の私ですら、そこらの土地持ち農家と同程度の待遇だ。命を賭けるのに見合う待遇は難しい。星は刹那的に生きてるような人間のせいか給金の安さは気にしてないが、有能な人間はそれ相応の金の待遇を用意しなければ集まらない。
官吏の腐敗も、労力に見合わぬ給金の低さにある。田豫の給金は月あたり800銭(8万円相当)。武官の上級指揮官もそれの倍が精々だ。良い武官を集めようにも労力に見合わないしな。有能な人材なら義勇軍でも率いていた方が待遇がいい。文官はまだ裕福な出身者が多いが武官は特に問題だ。
今では近衛隊ですら従来の給金の6分の1になっているらしい。臨時雇用の軍に、待遇の悪い常備軍。軍の統率のとれない国が乱れるのも必然だろう。
『文尊武卑』
武官を軽視する風潮が強まり続ければ軍そのものが腐敗する。官吏の腐敗に軍の腐敗。そして農民に対する重税。どうにかしなければこの国に未来はないな。
そんな事を考えていると部下の一人が報告に来る。
「どうした?」
「公孫賛様。劉備と名乗る義勇軍の長が公孫賛殿への面会を求めています。なんでも学友という事ですが、お心当たりはございますでしょうか?」
「劉備……桃香か?ああ、髪の色はどうだ?」
「桃色の髪をした女性でした。」
「ならば桃香だ。いや、私の知り合いだ。通してやれ。ただし軍は入れるなよ。」
「はっ!」
奇しくも公孫賛が望むような有能で金銭的な欲のない武官がこの時来る。
◆◆◆
「公孫?郡太守がお会いになるそうです。」
劉備達はその一言に安堵し、一刀は、いきなり執務室に呼ばれた事から自分の策がうまくいきそうな事にほくそ笑む。
城の前で待たされていたがようやく面会が許可された。やはり兵士を連れてきたのが効いたようだ。俺の策は簡単だ。公孫賛は5000の賊に対して3000の兵士しか持たない。さらに兵士は農家の次男や三男が主で賊とろくに変わらないような弱小な軍のようだ。
ならば将の質で補うしかないだろう。
公孫賛といえば、いつの間にか滅亡している弱小勢力。三国志のゲームでも雑魚で親族くらいしかまともな将がいないが、その親族すらいないらしい。関羽や張飛という三国志を代表する名将の力は借りたいと思うはずだ。関羽や張飛は指揮の経験こそないが、あの三国志の英雄だ。指揮能力が低いはずがない。
そして、戦いで目立ち、名声を上げる。
その為の偽兵だ。
持っていたボールペンを好事家に売りさばき、そこらにいた人を集め、一日だけ付いてくるだけでという条件で雇った。その数は100人。戦いに赴く兵を雇うなら10人にも満たないような兵しかあつまらなかっただろうが、付いてくるだけな
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