第1話 ハム、集られる
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兵力は集めてどれくらいだ?」
「ざっと三千くらいですかね。募兵でなく、徴兵に近い形にすれば賊と同等の五千は集まるかと。」
徴兵に近い形にすると郷や県単位での有力者の意見を入れなければならない。そうなれば指揮権が乱れる。指揮権の確立してない軍なんて賊軍以下だ。
「まあ、辺境だしな。光武帝が漢を立て直した時と比べて随分と人口が減ってしまった。募兵で五千なんて兵力は集められない。」
「最前線ですからね。住みやすいとは言い難いですし。」
さて、どうするかな。幽州は対異民族の前線ではある。兵は精強ではある。しかし、敵もそれは同じだ。
光武帝の中興以来、銅馬や緑林、赤眉といった賊出身者の子孫が兵士を出していたが、三〇年前からそれもその仕組みも崩壊してしまい、土地を継げない次男や三男を臨時に雇い、戦が終わると解散させているのが現状だ。確かに軍事費負担は正規雇用より減ったけど、そいつらは職がないから金が無くなれば賊になってしまう。
この賊はその類の連中だろう。国家の募兵がなく、収入がないから賊をする。国家事業の屯田も定員が限られるので受け皿としては機能していない。
「私が率いるのだ。賊軍など倍いようが相手にならん。」
そんなことを考えていると星が勇ましい声で宣言する。
「ああ、頼りにしているよ。星の力は知っている。」
星はそんなことを言うが、問題なのは倒した後だ。逃げられて各地に分散して賊をやられると郡の治安が悪くなり、今年の税収にも響く。勝つことができても郡に被害が出るなら敗北に等しい。
「兵数の差があるのであれば弓騎兵にて崩し、あとは歩兵にて蹂躙、包囲するのがよろしいかと。」
敵はさすがに騎兵殺しの戦術はとれないだろうし、悪くない。
「悪くない策だ。それで行こう。私が弓騎馬隊を率いて前陣を崩し、左翼部隊と合流、そのまま指揮をとる。星は崩れた所を歩兵を率いて敵を潰せ。私が敵軍を突破した後、背後に回る。田豫は右翼で追い立てろ。」
「了解した。」
趙雲は同意し、田豫は質問する。
「三方包囲ですか。ある程度の敵軍を逃がし、それをまた追撃ということでよろしいですか?降伏の勧告の方はいかがいたしましょうか?」
「ああ、四方を包囲すれば死兵となるからなるべく損害は少なく抑えたい。異民族の侵攻に備えてな。降伏勧告は一撃を入れてからする。」
「分かりました。こちらには寄せ集めで構いませんが弩兵を多くしていただきたい。牽制くらいはできないと。あくまでも右翼はお飾り扱いで。私は武官ではないのであまり期待されても困ります。」
軍議は終わった。おそらくは勝てるだろうと思うが文官の田豫を武官として運用しないといけないのはなさけない。どうにか有能な武官を得られない
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