第一話 はじまりがはじまる
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めておいたからな。では、いくか!」
おとうさんがぼくたちの荷物も一緒に持って言った。サトチーにいさんはタンスを漁っていた。
外に出ると、船乗りのおじさん達が慌ただしく走り回っていた。
「リュカ、サトチー。あっちを見てみなさい」
おとうさんが指差す方を背伸びして見ると、海の向こうに点? が見えた。海の線の上にちょこんと乗っている。なんだろう。
「あれって山?」
ぼくが言うとおとうさんは笑った。一緒にサトチーにいさんも笑った。
「リュカ、ありゃあ港だ。この船が着くところだぜ」
そう言ってもう一度サトチーにいさんが笑う。
もう一度よーく見る。黒い塊みたいに見えたものがぼんやりと、四角になっていく。
本当だ。建物だ。
「ようやく、始まるなぁ」
サトチーにいさんが小さな声で言った。楽しそうな、でもよく分からない声。海がざぁざぁいっている。
「ようやくだ」
横顔が急に真面目になって、ぼくは何と言えば良いのか分からなくなって海を見ていた。
港はもう、すぐ、そこ。
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