第一話 はじまりがはじまる
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トチーにいさんだけが残される。
「よし、不肖の弟、リュカよ。今日も船の中探検隊でもするか」
「にいさん、ふしょうって何?」
「ん? それはだな……えーとあれだ……知らん!」
難しいことをたくさん知っているサトチーにいさんでも知らないことは結構あるみたいだ。
ぼくとサトチーにいさんはもう何度目かになるか分からない、探検に行く。
「今日はここに忍び込んでみるぞリュカ隊員!」
「ラジャー、隊長! ……でもここ船の中で一番えらい人の部屋でしょ? 入っていいの?」
確か、ヒゲを生やしたおっきなおじさんだ。
「良いんだよ。むしろここに来ないと永遠に陸にたどり着かないんじゃないかって、俺は危惧してるぞイベント的に」
よく分からない。けれど、ぼくを無視してサトチーにいさんは、ばーんって音がするぐらい勢い良くドアを開けた。忍び込むんじゃなかったっけ?
「おや、坊や達どうしたのかい。ここは船長室だよ」
大きなおじさんが大きな机の向こう側にいた。着ている服も船乗りのおじさん達よりカッコいい。
叱られるっ! と思ったのでぼくはおもわず、ごめんなさいと言おうとしたが、それより先にサトチーにいさんが話し出すほうが早かった。
「おっちゃん達は親父と知り合いなの?」
「ああ、パパスさんの所の坊やか。そうだよ、坊や達のお父さんには昔よく世話になったものだ。お父さんの言うことよく聞いて立派な大人になるんだよ」
そう言っておじさんは、ぼくとサトチーにいさんの頭を撫でた。大きくてごつごつしていたけれど、温かい手だった。
しばらく、ぼく達はおじさんに話を聞かせてもらった。大きなイカと戦ったことや、海賊船に襲われた話とか色々だ。ぼくはわくわく、どきどきしながら聞いていると部屋の外から声がした。
「港に着いたぞー! イカリをおろせー! 帆をたためー!」
「どうやら着いたようだな。坊や達、下に行ってお父さんを呼んで来てあげなさい」
「はーい。ほら、にいさん起きて!」
いつの間にか眠りこけていたサトチーにいさんを揺り起こして、ぼく達はおとうさんがいる客室へ向かった。
おとうさんは部屋で本を読んでいた。
「そうか、港に着いたか! 村に戻るのはほぼ2年ぶりだ……。リュカはまだ小さかったから、村のことを憶えてはいまい」
村? よく分からない。サトチーにいさんは知ってる?
「おう、サンチョさんマジ肥満と思いきや、筋肉太りだったぜ。力士体型っていうのはサンチョさんみたいなことを言うんだぞ」
聞いてみると、笑いながらサトチーにいさんが答えた。
やっぱりよく分からない。ぼくは村のことを聞いたんだけど……。サンチョって誰?
「お前達の荷物は私がまと
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