和平に向けて〜
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「・・・」
恋の言葉が脳裏に蘇る。
「・・・本当に恨んでんならそんなことは言わねーよ」
「ああ・・・そうだな」
「明日に響くし、そろそろ寝よう」
黒羽が言って、その場はお開きになった。そして翌日・・・
「そちらの書状、確かに目を通した。第六譜石に詠まれた預言とそちらの主張は食い違うようだが?」
「預言はもう役に立ちません。俺・・・私が生まれたことで預言は狂い始めました」
「・・・レプリカ、か」
「お父様!もはや預言にすがっても繁栄は得られません!今こそ上に立つ者の手腕が必要なのです。この時の為に私達王族がいるのではありませんか?少なくとも、預言にあぐらをかいて贅沢に暮らすことが王族の務めではない筈です!」
「・・・私に何をしろと言うのだ」
「マルクトと平和条約を結び、外殻を魔界に降ろすことを許可していただきたいんです」
「なんということを!マルクト帝国は長年の敵国、そのようなことを申すとはやはり売国奴どもよ」
アルバインが言い、モースも続ける。
「騙されてはなりませんぞ、陛下。貴奴ら、マルクトに鼻薬でも嗅がされたのでしょう。所詮は王家の血を引かぬ偽物の戯言・・・」
そこでイオンが怒りの声を出した。
「黙りなさい。血統だけにこだわる愚か者」
「生まれながらの王女はいませんよ」
俺はあの世界の・・・あの能天気な蜀王を思い出す。
「そうだ。民・・・いや、この世に生きる全ての者の為に努力した奴が王族と呼ばれるに相応しい品格や・・・力を得られるんだ」
「・・・サキの言うような品性が私にあるのかはわかりません。でも私は、お父様のお傍で十七年間育てられました。その年月にかけて私は誇りを持って宣言しますわ」
ナタリアはその言葉を口にする。
「私はこの国とお父様を愛するが故にマルクトとの平和と大地の降下をのぞんでいるのです」
「・・・よかろう」
その言葉に俺達は驚く。
「伯父上!本当ですか!」
「なりません、陛下!」
「こ奴らの戯言など・・・!」
「黙れ!我が娘の言葉を戯言などと愚弄するな!」
「・・・お父・・・様・・・」
「・・・ナタリア。お前は私が忘れていた国を憂う気持ちを思い出させてくれた」
「お父様、私は・・・王女でなかったことより、お父様の娘でないことの方が・・・辛かった」
「・・・確かにお前は、私の血を引いてはいないかも知れぬ。だが・・・お前と過ごした時間は・・・お前が私を父と呼んでくれた瞬間のことは・・・忘れられぬ」
「お父様・・・!」
ナタリアはインゴベルト陛下に抱きつき、泣き出す。そして、しばらくして・・・
「よかったな、ナタリア」
「
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