第二十話 覚醒の序曲
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『ウオオオオォォォォォォ―――――――!!』
ミネルバに一機のムラサメが突撃し、爆発する。衝撃を受けるミネルバ。その姿は余りにも無残だ。続けてムラサメが突撃していく。ミネルバが、共に戦った戦友が……やられていくその姿を見て、シンの中で何かが弾ける。
「クソォォォ―――!!」
頭の中がクリアになる。敵の動きがまるで今までよりも緩慢に、そしてより鮮明に映る。彼はこのときをもって遂にSEEDへの覚醒を果たした。
『これでッ!』
カオスのサーベルとクローが襲い掛かるがブラストインパルスに乗ったシンは総てを躱し、逆にビームジャベリンを構え、突き抜く。
ポッドが貫かれ、そのままゼロ距離でミサイルを連打する。
『ぐ、クソッ!?』
そしてそのまま止めを刺そうとするが、バルトフェルドの乗るムラサメが邪魔をした。
「お前も、お前達も―――そんなことして戦争が、終わるわけないだろォォ―――!!」
ジャベリンを投げつけるシン。咄嗟に回避行動に移るが間に合わない。距離が多少遠かったこともあり、その持ち前の悪運の強さで直撃だけは避けた。しかし、機体の損傷は甚大で、中にいたバルトフェルドも被害を受ける。
『痛ッ―――やるじゃないか……砂漠の虎と呼ばれた俺が、こんな簡単に追い詰められるなんてな』
ヘルメットが割れ、額に傷が出来、流れる血のせいで視界が赤に染まる。これ以上の戦闘はパイロットとしても機体の状態としても不可能だと判断して撤退する。
『こんの、舐めやがってェ―――!』
ポッドを撃墜されようとも武器は残っている。ビームライフルを連射しつつ、格闘戦に移行しようと突撃をしかけるカオス。しかし、今のシンを相手にするには些か以上に役不足だった。
収束ビーム砲をほぼゼロ距離で放つシン。それはコックピットこそ貫かなかったがカオスに致命的なダメージを与えた。
「ツッ!?」
このまま放てば一気に仕留められるだろう。しかし、脳裏によぎるのはステラの姿。自分はあれと同じ被害者たる人間を撃ってもいいのか。その一瞬の躊躇いがカオスの窮地を救った。
『何あっさりやられてんだよ、スティング!』
アビスが海面から突如現れ、スティングのカオスを掴み、そのままスラスターを全開にして撤退する。
『済まねえアウル。アイツ等にやられちまった……』
『バーカ、何ドジ踏んでんだよ。そんなことするのはアイツだけで……アイツって誰だ?』
『俺が知るかよ……』
アイツ―――ステラの事を感覚的に思い出すかのように、いやそんな鮮明なものですらない名残のようなものを感じながら、そんな言葉を言い、そのまま二機は戦線から撤退していった。
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