暁 〜小説投稿サイト〜
真似と開閉と世界旅行
タタル渓谷〜
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た記憶か。

「でも・・・顔はぼやけてたけど・・・二人とも、笑ってた。なんで・・・死ぬのに・・・」


愛依は完全に泣き崩れてしまう。

「愛依、泣かないでください。・・・咲さん、黒羽さん、知也さん。すみませんが、二人きりにしてくれませんか?」

「・・・ああ、わかった」

俺達は外に出る。・・・前に、愛依の頭に触れ、一瞬俺の中の愛依の闇と愛依自身の闇をリンクさせる。









『みんな・・・みんなどこぉ・・・?』

辺りが炎と悲鳴で埋まる中を、小さい愛依は走っていく。

『いやだぁ・・・怖いよぉ・・・!』

・・・その時だった。目の前から光の矢が迫ってきていた。

『ひっ・・・』

怖くて足がすくむ。その矢が自分を貫こうとした瞬間・・・

『・・・させない!』

矢が叩き落とされる。

『・・・愛依、大丈夫!?』


『お母、さん』

目の前に母親を見つけ、安心する。

『お母さん!』

『・・・』

母親に近づこうとした時、母親の気配が緊迫したものに変わる。

『・・・愛依!』

ドン、と母親に突き飛ばされ、地を転がる。何かしたのか、と思ったが、顔を上げた時・・・信じられない光景が目に入った。

『・・・ぐっ・・・』

『お母さん!?』

母親の腹に・・・さっきのと似たような光の矢が刺さっていた。


『う・・・』

母親の身体が揺れ・・・倒れる。

『お母さん!?お母さん!』

『大丈夫・・・だから・・・』

『・・・あ・・・!』

自分の両手は・・・母親の血で真っ赤に染まっていた。

『ああ、あ・・・ああああ・・・!』

恐怖で身体が震える。だけど・・・母親の手が頬に触れる。
『・・・逃げて・・・』

『で、でも・・・!』

『ーーーーーが守って・・・』

『ーーーー無理だよ!』

映像と声にノイズが走る。

「(まだだ・・・!まだ・・・せめて、愛依の母親の顔だけでも・・・!)」

愛依を助けた母親の顔・・・それを見れば・・・きっと愛依の正体だって・・・それに、愛依が破壊者になった理由も・・・


「ぐっ!?」

闇が暴れだそうとするのを感じて慌てて手を退く。

「・・・見たの?」

愛依が聞いてくる。


「・・・悪い」

愛依は首を横に振る。

「・・・母さんの顔・・・見えた?」

俺は首を横に振る。

「だよね・・・だって、アタシが覚えていないんだから・・・母さんだけじゃない。父さんの顔も・・・多分・・・妹もいたんだと、思う」

「愛依・・・」

「・・・記憶は取り戻したかった。・・・けど、こんな記憶・・・思い出した
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