タタル渓谷〜
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
た記憶か。
「でも・・・顔はぼやけてたけど・・・二人とも、笑ってた。なんで・・・死ぬのに・・・」
愛依は完全に泣き崩れてしまう。
「愛依、泣かないでください。・・・咲さん、黒羽さん、知也さん。すみませんが、二人きりにしてくれませんか?」
「・・・ああ、わかった」
俺達は外に出る。・・・前に、愛依の頭に触れ、一瞬俺の中の愛依の闇と愛依自身の闇をリンクさせる。
『みんな・・・みんなどこぉ・・・?』
辺りが炎と悲鳴で埋まる中を、小さい愛依は走っていく。
『いやだぁ・・・怖いよぉ・・・!』
・・・その時だった。目の前から光の矢が迫ってきていた。
『ひっ・・・』
怖くて足がすくむ。その矢が自分を貫こうとした瞬間・・・
『・・・させない!』
矢が叩き落とされる。
『・・・愛依、大丈夫!?』
『お母、さん』
目の前に母親を見つけ、安心する。
『お母さん!』
『・・・』
母親に近づこうとした時、母親の気配が緊迫したものに変わる。
『・・・愛依!』
ドン、と母親に突き飛ばされ、地を転がる。何かしたのか、と思ったが、顔を上げた時・・・信じられない光景が目に入った。
『・・・ぐっ・・・』
『お母さん!?』
母親の腹に・・・さっきのと似たような光の矢が刺さっていた。
『う・・・』
母親の身体が揺れ・・・倒れる。
『お母さん!?お母さん!』
『大丈夫・・・だから・・・』
『・・・あ・・・!』
自分の両手は・・・母親の血で真っ赤に染まっていた。
『ああ、あ・・・ああああ・・・!』
恐怖で身体が震える。だけど・・・母親の手が頬に触れる。
『・・・逃げて・・・』
『で、でも・・・!』
『ーーーーーが守って・・・』
『ーーーー無理だよ!』
映像と声にノイズが走る。
「(まだだ・・・!まだ・・・せめて、愛依の母親の顔だけでも・・・!)」
愛依を助けた母親の顔・・・それを見れば・・・きっと愛依の正体だって・・・それに、愛依が破壊者になった理由も・・・
「ぐっ!?」
闇が暴れだそうとするのを感じて慌てて手を退く。
「・・・見たの?」
愛依が聞いてくる。
「・・・悪い」
愛依は首を横に振る。
「・・・母さんの顔・・・見えた?」
俺は首を横に振る。
「だよね・・・だって、アタシが覚えていないんだから・・・母さんだけじゃない。父さんの顔も・・・多分・・・妹もいたんだと、思う」
「愛依・・・」
「・・・記憶は取り戻したかった。・・・けど、こんな記憶・・・思い出した
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ