逃亡中〜
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愛依〜
「・・・」
みんなが寝静まった夜。アタシは一人起き上がり、消えかけた焚き火に木の枝をくべる。
「リパル・・・起きてる?」
『・・・はいッス』
アタシは方天画戟を隣に突き立てる。
「みんな・・・いい人だよ」
『そうッスね』
「だからこそ・・・アタシは嫌なんだ」
『?』
「何時かこの人達も壊してしまうかもしれない・・・そう思ったら、怖くて・・・」
『でも、咲さんがいるじゃないッスか。咲さんなら・・・』
「・・・見てなかった訳じゃないだろ」
『・・・』
咲に襲い掛かったあの時、アタシは何をしているのか、自分でも分かっていなかった。
「・・・ごめんね。アタシの愚痴に付き合わせて・・・」
『いや・・・構わないッス』
「ありがと。・・・アタシさ、このまま記憶が戻らなきゃいいなって思う時があるんだ」
『え・・・』
「・・・今が、楽しすぎて・・・みんな、優しくて・・・ずっと、ずっと色んな人に憎まれて来たから・・・」
今でも思い出せる罵倒や怒声。その一人一人の憎悪の表情・・・
『・・・さん!愛依さん!』
「・・・っ!」
気がつけば自分の腕に爪を立てていた。
「・・・」
『・・・だから、毎日よく眠れないッスか?』
「・・・気づいてたんだ」
『まあ、何となく・・・なんスけどね』
「・・・持ち主に似て鋭いね」
『・・・咲さんッスか?』
「うん。・・・多分ね、リパルは咲をちゃんと信じてないんじゃないかな?」
『・・・オイラが』
「だから咲とすれ違って・・・咲を弾いちゃったんだよ」
『・・・』
「これも多分だけど・・・リパルが悩んでるのってアタシのせいかな?」
『そ、そんなことは・・・!』
「いーよ、誤魔化さなくて」
『・・・オイラは・・・愛依さんが羨ましいッス』
「・・・」
『なんの迷いもなく、どんな時も・・・」
「違うよ」
『え?』
「アタシが咲を信じるのは・・・アタシが弱いから」
『どういうことッスか?」
「アタシは・・・誰かを頼っていないと、不安で・・・怖くて・・・だから、信じるしかないんだ。例えどんなことがあっても・・・」
『愛依さん・・・』
「今は悩んでてもいいと思うよ。・・・というか、悩みが無い奴なんか普通いないって」
『でも・・・』
「ア
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